社会保険労務士法人 ロームのお役立ち情報

2020.11.27

同一労働同一賃金|知らないと損する!社長のための対策

2021年4月から中小企業にも同一労働同一賃金が始まります。
新型コロナで経営が本当に厳しい中小企業も多いと思います。

そんな中で、
「どんな対策をとれば良いのか?」
「同一労働同一賃金をキッカケに会社を強くする方法はないか?」
とお悩みの社長さまに、同一労働同一賃金の本質と狙い効果的なノウハウと就業規則、賃金規定の見直し方法までシンプルにわかりやすく、具体的に解説していきます。

「同一労働同一賃金」は、デメリットばかりと勘違いしていませんか?
取引先1100社超、7事務所の社労士法人の代表が、実践の中で発見した「意外な発想とその使い方」をお話します。

特定社会保険労務士 牧野剛

目 次 非表示

1.同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは、
正社員と、パート、契約社員、嘱託職員(以下「非正規」)との間で、不合理な待遇差を禁止する制度です。

同一労働同一賃金には、均等待遇と均衡待遇の2つがあります。

①【均等待遇】「労働」が同じであれば、同じ「賃金」を払うこと
正社員と非正規(パート、契約社員など)の
・仕事の内容
・配置転換の範囲、仕事内容の変更の範囲
が同じであれば、差別的な取り扱いをしてはいけません。

②【均衡待遇】「労働」に違いがあれば、違いに応じて、「賃金」を払うこと
正社員と非正規(パート、契約社員など)の
・仕事の内容
・配置転換の範囲、仕事内容の変更の範囲
・その他の事情(組合との交渉過程、定年後の雇用など)
に違いあれば、違いに応じて違いに応じた待遇をすること。

2.ズバリ対策のコツは、「労働」の違いを明確にすること。

「労働」に違いあれば、違いに応じて賃金を払えばよいです。
だから、同一労働同一賃金の対策は、「労働」つまり

正社員とパート、期間契約、嘱託社員の、
・仕事の内容
・配置転換の範囲、仕事内容の変更の範囲
・その他の事情(組合との交渉過程、定年後の雇用など)
の違いを明確にすれば良いのです。

新型コロナの影響で経営が厳しい中小企業は、より一層、正社員に「どんな仕事をどんな風にして欲しいのか」を明確にして、待遇にふさわしい成果を上げてもらうようにすれば良いのです。
そして、パート、期間契約、嘱託社員の仕事内容を明確にし、待遇差が合理的に説明できるようにしましょう。

もちろん、仕事の見直しには、工夫が必要です。それはのちほど、お話いたします。

3.同一労働同一賃金はチャンス!

「働き方改革」は、「国が決めたことだから、後回にしよう」とか、「どうせわが社には無理だから」と、問題を放置するのは大損です。

イケてる2代目社長は、働き方改革の本質をつかんでキッチリ対策を立てましょう。
すると、同一労働同一賃金で得られるメリットを活かして強い会社、儲かる会社に変わります。

4.同一労働同一賃金の本質は?

「同一労働同一賃金」の目的は、人手不足対策です。
少子高齢化で、日本の労働者人口は減り続け、働き手が減ることが国力の低下につながっています。

同一労働同一賃金とは、今、労働市場に参加していない潜在的な働き手(主婦、高齢者など)を積極的に発掘していく作戦です。
家庭の事情などでフルタイムでは働くことができない層に、同一労働同一賃金を進めて、納得感のある収入や待遇を得られるようにし、労働市場への参加の後押しをするために考えられましたものです。

実は、副業・兼業の解禁も、少子高齢化と人手不足対策なんです。

人手不足対策で悩んでいる中小企業は、主婦、高齢者、フリーランサー、副業・兼業まで視野に入れて、納得感のある収入や待遇をバランスよくとることによって、人手不足対策を解消する対策が浮かびます。
イケている2代目社長は、視点を高く、拡げて対策を打つことが大切なんです。

5.ピンチをチャンスに変える視点!

正社員だけを対象にした諸手当、賞与なども、「同一労働」という条件を満たした場合のパート、契約社員は同じように支給することが求められるようになります。

これは、そのまま取り組むと即コストアップです。コロナショックで厳しい経営状態の中で、そのまま実施できる中小企業は多くはないでしょう。
同一労働同一賃金の発想は、「正社員とパート、契約社員などとの労働が同一であれば、待遇も同じに!」、「労働に違いがあれば、待遇もその違いによって」ということです。

ポイントは、正社員とパート、契約社員の「労働」にどんな違いがあるかを明確にすることです。
そして、その違いに応じた「合理的な待遇差」をパート、契約社員、嘱託職員などにキチンと納得を得ながら説明できることが求められます。

「正社員の労働」と「パートの労働」の違いをできるだけキチンと明確にして、正社員に実際に働いていただくことができれば、「合理的な待遇差」を説明できるようになるわけです。
つまり、同一労働同一賃金の対策を生産アップの取り組み、会社を強くする方向で解決していく視点が大切なのです。

6.働き方改革の本質は生産性アップ!

同一労働同一賃金の取り組みは、働き方改革の重要施策の一つです。
働き方改革の本質は、「日本を支える働き手が減る中で、少子高齢化を乗り切るには、従業員一人あたりの粗利益(=生産性)を高めること」にあります。

従業員一人あたりの粗利益(生産性)のアップこそが、働き方改革の本質です。
つまり、働き方改革=稼ぎ方改革です。

7.同一労働同一賃金で生産性アップを実現するには!

同一労働同一賃金は、手間もコストも掛かります。
同時に、正社員・パート、契約社員、嘱託社員の働き方、役割を見直すことによって、それぞれの能力を発揮して、会社を利益体質に変えるキッカケとなります。

イケてる社長は、同一労働同一賃金に前向きに対応していくことで、コロナショックで厳しい状況を乗り越えるチャンスに変えることができるでしょう。

※本当にピンチをチャンスに変えたい社長様は、下記を理解するよりも、「改革を優先」すべきです。
同一労働同一賃金に詳しい専門家をご存知であれば、今すぐ連絡をしてください
 

8.「同一労働同一賃金」でよくある勘違い?

比較対象はあくまで「自社の正社員」

最初に、同一労働同一賃金のよくある勘違いを説明します。
同一労働同一賃金が始まると、正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与、手当といったあらゆる待遇について、正社員とパート、契約社員、嘱託社員などの間に何らかの差を付ける場合には、その差が設けられている理由を合理的に説明できるように求められます。

今回の法律で対象となるのは、「同じ会社に勤める」「正社員と非正規の間」の待遇差です。

つまり、同業他社との違いや、正社員同士や非正規社員同士の差ではなく、あくまで自社内の正社員と照らし合わせての判断に限定されているのがポイントとなります。
なお、派遣社員は、2020年4月1日より改正・施行された「労働者派遣法」での対応となります。今回は省略します。

会社に説明の義務があります。

会社は、待遇差とその理由について、次の場合に説明する義務があります。

  1. 社員を採用するとき
  2. パート、契約社員、嘱託社員などから「正社員と非正規での待遇の違い」について説明を求められたとき

説明するときは、資料(就業規則・賃金表、評価規定など)を活用しながら口頭で行うのが基本となります。
なお社員が説明を求めたことを理由に不利益な扱いをすることは禁じられています

罰則はないものの……

同一労働同一賃金を定めた「パートタイム・有期雇用労働法」には、罰則はありません。

しかし、この法律を監督する都道府県労働局は、同一労働同一賃金の状況について、会社から報告をさせ、それに基づき助言、指導など行政指導をすることができます。

また、この法律を根拠に、パート、契約社員、嘱託社員が、会社を訴えることもできます。そして、会社側が敗訴するケースが目立っています
今回、「同一労働同一賃金のガイドライン」という具体的な判断基準が示されました。
会社と非正規の間でこの法律をめぐって争いが生じたときは、このガイドラインに沿って、裁判所は不合理な待遇差があったか否かを判断します。

正社員とパート、契約社員で、待遇の違いあり、それが働き方や役割の違いに応じた合理的な待遇差と説明できない場合には、会社は損害賠償の義務を負う可能性が高まりました。

不合理な待遇差は、できるだけ早期に見直しをしたほうが、賢いと思いますが、いかがでしょうか?
見直しをするときは、会社が強くなる方向、つまり生産性をアップする方向で見直すのがお得だと思いますが、いかがでしょうか?

9.不合理な待遇差であるかチェックし、改善しよう。

(1)具体的な進め方

ココからは、会社で行うべき、同一労働同一賃金の対策を具体的に説明していきます。
おおまかな流れは、次の通りです。

  1. パート、契約社員、嘱託社員などがいるか確認する。
  2. 正社員とパート、契約社員、嘱託社員の待遇について現状を調べる。
  3. 待遇には差があるが、その差が合理的なものであった場合は、「非正規向けの「説明書」を作る。
  4. 差が不合理なものだった場合は、「労働」か「待遇」を見直す。
施行日の2021年4月までに不合理な待遇差を解消するためには、早めに取り掛かりましょう。

(2)作業に必要な3つの資料

同一労働同一賃金を導入する際に特に必要な3つの資料を挙げておきます。
実際の作業はこれらの資料を見ながら進めることになりますので、事前にダウンロードしておきましょう。

 
①「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」
同一労働同一賃金の導入を進めるための手順が詳しく説明されています。

パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書

 
②「同一労働同一賃金ガイドライン」
(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針)
正社員と非正規社員の間で、いかなる待遇差が合理・不合理であるかの基準となるもので、原則となる考え方と具体例が示されています。

同一労働同一賃金ガイドライン

 
なおこのガイドラインでは退職手当や住宅手当、家族手当等の待遇については言及がありませんが、そういった事例についても順次不合理な待遇差を解消していくことが求められています。

ガイドラインの説明

ガイドライン全文

 
③「説明書モデル形式」
自社の待遇を社員に説明する際に使う「説明書」のフォーマットです。早めに、この説明書を完成させるのが、最初のゴールとなります。
「取組手順書」内17ページにあります。

「取組手順書」内17ページ


取り扱い手順書P18にはこのフォーマットのブランクが用意されていますので、順に埋めていけば説明書が完成します。
ココまで読んで大変だなと感じる方は、早めに社労士に依頼することをおすすめいたします。

(3)労働の3要素とは

「同一労働同一賃金」は正しく理解するには、まず「労働」そのものの中身をシッカリ理解することが大切です。
今回の法律では「労働」を定義するものとして、次の3つの要素を示しています。

①職務の内容

職務の内容は、「職務そのものの内容」「責任の程度」の2つです。
「職務そのものの内容」とは以下の通りです。

  • 職種
  • 担当業務の対象とその範囲
  • 必要な知識と技能など

    <具体例>
    事務職か営業職か、カバーする仕事の範囲はどこまでか、難しい仕事か簡単な仕事かといったことがこれにあたります。
「責任の程度」には、以下の項目が含まれます。
  • 権限(部下の有無、権限の範囲)
  • 役割の範囲(決裁権など)
  • トラブルや緊急時の対応
  • 成果への期待の程度

    <具体例>
    ・部下への指導責任があるか
    ・ノルマ(目標)があるか
    ・業務シフトの希望の通りやすさ
    などがこれにあたります。

②職務の内容・配置の変更の範囲

職種転換や転勤の有無、および範囲のことです。


<具体例>
経理を担当していた人が営業職に配置転換となったり、東京オフィスで働いていた人が大阪に転勤になったりというような異動

③その他の事情

労働組合等との交渉の状況や、定年後の雇用であることなど、過去の経緯などを踏まえた個別の事情です。

(4)「働き方」を見直そう

同一労働同一賃金で重要になるのは、「労働」が正社員とパート、契約、嘱託と同じなのか、それとも違うのかです。違う場合には、待遇差にふさわしい程、違うのかです。


したがって、正社員の職務内容をどれだけ丁寧に丹念に拾い上げ、その仕事の難しさレベル、「責任の程度」を明確できるかが最大のポイントです。
働き方改革を推進し、生産性をアップする視点で、本来、正社員が担うべき職務の内容をピックアップしたり、正社員がパート、契約社員、嘱託社員をフォローしたり、サポートしている状況をハッキリ書き出すことです。
思いつくままにドンドン書き出していきましょう。


そして、その職務を正社員に実際に担ってもらうには、どうしたら良いか対応策(権限移譲、教育、マニュアル化、人事評価の見直し)を考えましょう。


つまり、正社員には待遇差にふさわしい仕事をしてもらうには、どうすれば良いかを先に考えて、正社員を巻き込みながらドンドン実施していきましょう。


社内で正社員の職務内容の見直しができない場合は、社労士や組織活性化コンサルタントに依頼しましょう。
 

(5)均等待遇と均衡待遇について

正社員と非正規社員の間での不合理な待遇の格差は禁じられます。

社員それぞれの勤務状況が異なる場合には、適正な基準に沿って賃金や待遇を調整することが必要です。

1.「均衡待遇」とは「①職務の内容」と「②職務の内容・配置の変更の範囲」と「③その他の事情」に違いがあれば、違いに応じた待遇をするということです。(不合理な待遇差の禁止)
①~③を総合的に判断し、その違いを踏まえて待遇を決めていこうというものです。

2.「均等待遇」とは「①職務の内容」と「②職務の内容・配置の変更の範囲」が同じであれば、待遇も等しくするということです。(差別的取扱いの禁止)
 

(6)プロに頼むか、自分でやるかの判断について

同一労働同一賃金は、7つの手順をキチンと守って作業していけば、大企業や人事部のある会社なら、自社でも対応できるかもしれません。
【このブログからのお問い合わせが増えています。お読み下さい。】
 
同一労働同一賃金の取り組みを通じて強い会社に変わりたい!
同一労働同一賃金の手続きよりも、他に経営者としてやらなければならないことが山積みなのであれば、プロに依頼するのをおすすめいたします。

(7)7つの作業手順

ここからは7つの作業手順について順を追って説明していきます。

手順1:労働者の雇用形態を確認しましょう

現在、自社で非正規社員を雇用しているかどうかを確認します。以下の表を見て、AとBのいずれか、または両方に該当した場合は手順2・手順3に進みます。Cの場合は同一労働同一賃金に対応するための作業はありません。取組手順書P3雇用者の形態チェック

手順2:待遇の現状を確認しましょう

手順3:待遇に違いがある場合、 違いを設けている理由を確認しましょう


基本給、諸手当、賞与、福利厚生といった社内のあらゆる待遇をリストアップし、正社員と非正規社員の間に違いがあるかを確認します。待遇に違いがあった場合は、待遇ごとに違いを設けている理由を書き出します。
 
(ア)基本給の整理
基本給は社員待遇の基本となるものです。取組手順書P13にある「基本給の決定要素」の表などを用いて、自社の基本給はどういった指針の下に定められているのかを整理しましょう。社員評価の基準を明確にしておくことで、正社員と非正規社員の待遇差についての方針も決定しやすくなります。
正社員と非正規社員を比較検討する際には、仕事の内容と人事異動の範囲等が最も近い社員同士を選びましょう。

取組手順書P13基本給の決定要素

※基本給の決め方について、さらに詳しく知りたい場合は、以下の「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」をご覧下さい。
このマニュアルでは社員の職務内容を点数化して評価する「職務評価」という手法が紹介されており、賃金制度をより公正なものにする際に役立ちます。

職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル

(イ)諸手当
正社員と契約社員の待遇差が争われた「ハマキョウレックス事件」では、手当一つ一つの趣旨を個別に考慮すべきとの判断が示されました。
諸手当は、現状の支給状況をリストアップして整理します。

ハマキョウレックス事件 判決文

(手当の整理例)

取組手順書P8

(ウ)賞与・福利厚生等の整理
賞与および福利厚生についても、現状の待遇をリストアップして整理します。
(賞与の整理例)

取組手順書P10

 (エ)賞与・福利厚生等の整理
(福利厚生の整理例)

取組手順書P11

手順4:待遇の違いを一覧にまとめ、合理的でない違いについては待遇の改善を検討します。

手順3で自社のあらゆる待遇をリストアップした結果、正社員と非正規社員の間で違いがあった場合は、「同一労働同一賃金ガイドライン(本稿P11~12参照)」を参考にしてその違いが合理的かどうかを判断します。

取組手順書P7(同一労働同一賃金ガイドラインの概要)

※この図はガイドラインの概要であり、ガイドライン全文は以下となります)

同一労働同一賃金同一労働同一賃金ガイドライン全文

 
正社員と非正規社員の待遇差が合理的なものでなかった場合は、以下の例などを参考に待遇そのものの改善を検討しましょう。

取組手順書(P14-15)

手順5:社員に説明するための説明フォーマットを完成させます。

雇用側は、社員を採用する際や、社員から待遇の違いやその理由について求められた場合に待遇について説明する義務が生じます。
以下のフォーマットを参考にして、自社の待遇差について社員に説明するための説明書を作成しましょう。
取組手順書P17説明モデル形式
2021年4月1日の同一労働同一賃金の施行日まで、不合理な待遇差を解消するために、ここまでの作業はできるだけ早めに終わらせましょう
そして、より望ましい労働環境を整えるために、以下の手順5と手順6もできるだけ速やかに実行しましょう。

手順6:「法違反」が疑われる状況からの早期の脱却を目指しましょう

正社員と非正規社員の待遇差が「不合理ではない」とは言いがたい場合は、改善に向けて検討を始めましょう。
また「不合理ではない」と言える場合であっても、より望ましい雇用管理に向けて改善の必要はないか検討することもよいでしょう。

手順7:改善計画を立てて取り組みましょう

改善の必要がある場合は、実際に働いている社員の意見も取り入れつつ、法の施行日までに計画的に取り組みましょう。
不合理な待遇差を放置しておくと、場合によっては訴訟トラブルなどにもなりかねません。実際に待遇を改善するには、現状の調査、社内外のヒアリング、改善策の策定、原資の確保、社内への説明といった多くの作業が必要になります。
 
大企業や人事部のある会社なら、自社でも対応できるかもしれません。自社でやるにしても、社労士に依頼するにしても、スケジュールには余裕を持って進めましょう。

10.就業規則、賃金規定、雇用契約書の見直し

 不合理な待遇差をチェックしたら、次は、就業規則、賃金規定、出張旅費規程、雇用契約書を見直しです。
チェックすべき主な規則と内容は、次の通りです。

(1)就業規則

  • 慶弔休暇
  • 勤務に応じた法定外休暇
  • 病気休職
  • 福利厚生
  • 教育訓練
  • 出張旅費

(2)賃金規定

賃金規定では、次のように見直しに取り組みましょう。
①正社員だけに手当を支給するときは、合理的な理由を説明できるように、手当の趣旨を賃金規定に明記する
 
<具体例>
転勤の対象となる正社員には住宅手当を支給、
転勤の対象とならない契約社員は住宅手当を不支給。
「住宅手当は転勤による住宅費の負担を補填」と賃金規程に明記する。
 
②合理的な理由がなく、正社員だけに支給している手当は、
・不利益変更にならないように配慮し、手当を廃止する。
・パートなど非正規にも支給する
 
正社員とパート、契約社員、嘱託社員との待遇差が争われた裁判では、手当を支給する趣旨がハッキリしていないために、会社の主張が認められなかったことが原因で、会社側が負けた判例があります。

11.最初に取り組むべきは、「労働」の見直し

冒頭でも申し上げましたが、中小企業にとって同一労働同一賃金は本当に大変な制度だと思います。私自身も会社を経営する立場として、この制度がもたらす影響の大きさを実感しています。
 
同一労働同一賃金の導入に向け整理すべき社内事柄は非常に多岐にわたるため、「どこから手を付ければ」と悩まれる方もいるかと思いますが、全てに先駆けて行っておくべきはやはり正社員の「労働」と人事制度の見直しです。
 
人事制度の中身は大きく分けて評価制度と賃金制度の2つから成ります。
 
一番初めにこの見直しを行っておくことで「同一労働」を判定する際などに必要な正社員と非正規社員の比較の軸ができるのです。
軸さえ作ってしまえば、後の社内整理は単純な仕分け作業になるので作業はスムーズに進んでいきます。

(1)「粗利アップ」が判断のポイント

社内制度の見直しをする際にぜひ意識していただきたいポイントは、人事制度が粗利のアップに紐づいたものになっているかということです。粗利は企業活動全ての根幹となるもので、充分な粗利が確保できなければ同一労働同一賃金制度の本来の趣旨である非正規社員の待遇の改善も叶いません。
 
粗利アップにつながるような人事制度とは、社員それぞれが実力を発揮できるような仕組みです。また社員自身が、自分が活躍することで待遇改善につなげることができると実感できるような人事体系や社風づくりです。
 
賃金アップや充分な有休といった待遇を得るには原資が必要だという理解が社内に行き渡れば、社員は自分自身のために原資を確保しよう、粗利をアップしようという当事者意識を持って働けるようになります。

(2)評価基準を明確にして一枚岩の社内体制を 

技能重視」「年功序列」など、会社によって人事評価の基準は変わってくると思いますが、まずは経営者自身が「自分の会社は何を重視して社員を評価しているか」ということをもう一度振り返ってみましょう。
その重視ポイントを人事制度に明確に表現していくことで、社員の働き方もブレなくなっていきます
 
こうして企業としての足腰が出来上がっていくのです。社内制度の整理が大変な場合には、人事のプロである社労士を活用するのも効率的な解決法だと思います。
会社の方向を明確にすることで評価基準が明確になり、正規・非正規を問わず社員みんなが働きに応じた公平な待遇を受けられるようになれば社内のモチベーションは劇的にアップします。

その結果、お客様に対してもより良い商品やサービスを提供できることになり喜んでいただけるようになります。
これが、関係者全員が幸せになれる社内改革です。
 
同一労働同一賃金制は大変な仕組みではありますが、会社が大きく成長するための良い機会として前向きに活かしていきましょう。

12.プロに頼むなら、どうやってプロを探せばいいか?

同一労働同一賃金の対策を依頼する社会保険労務士を選ぶには、いくつかのポイントがあります。
 
ここでは、社労士選びで失敗しないための判断基準についてお話をさせていただきます。
 
社労士の仕事の守備範囲は、労働基準法、労災保険、健康保険、厚生年金、国民年金など幅が広いです。
そもそも、労務管理のコンサルをやらない社労士が多いんです。 

得意分野

人事労務コンサルの分野の中でも、「雇入れ」、「育児・介護系」、「働き方改革・時間外労働」など社労士よって得意分野があります。
今回の同一労働同一賃金は、その中でもかなり「特殊なコンサル」です。

13.失敗しない社労士の選び方

  •  同一労働同一賃金にどれだけ詳しいか?
  • パンフレット、書籍、講演など、同一労働同一賃金の実務経験はあるか?
 
同一労働同一賃金の実務経験がない・少ない場合、コストアップになる提案ばかりをされる可能性があります。
そうならないように事前に実務経験など確認すべき箇所はチェックするようにしましょう。
 
同一労働同一賃金は、パート、契約社員、嘱託社員の労務管理と賃金制度について、なるべく豊富なノウハウ実績を持った社労士事務所に依頼するのが成功のカギと言えます。

14.社会保険労務士法人ロームではこんなサポートができます(初回90分無料相談)

社労士法人ロームでは、助成金を活用しながら人事評価制度の導入、正社員の戦力化、就業規則の改定にも対応することができます。
だから、最小のコストで「同一労働同一賃金」に対応することができ、社長さまの負担にならずに会社を強くすることができます。

ロームでは、初回相談無料となっておりますので、お気軽にご相談いただけます。

私たちは、まず徹底的にお客様の状況をヒアリングさせて頂いております。これは、お客様ごとに「状況」が大きく異なるためです。入念なヒアリングによって状況を適切に把握することが最適な解決策や改善方法のご提案に繋がります。

もちろん、守秘義務を遵守いたしますので、ご安心ください。相談したいことがまとまっていない方も、まずはお気軽にご相談ください。お話いただくことで問題が整理されます。
そして、私たちが問題を解決させていただくことで、気持ちが楽になるかと思います。

無料相談では、御社の悩み・問題を整理したマインドマップを無償提供しておりますので、お気軽にご相談ください。

ご提案の一例
  • 働き方改革の推進(粗利アップ)
  • 正社員の戦力化
  • 人事評価制度の構築

    次の書類のチェック
  • 就業規則
  • 賃金規定
  • 雇用契約書

初回無料相談についての詳細やお申し込みはこちら

「同一労働同一賃金」に強い社労士によるサポート内容については、「当事務所の8つの特徴」をご覧ください。

15.働き方改革、同一労働同一賃金に強い「社会保険労務士法人ローム」へのお問い合わせ方法 

今すぐのお問い合わせはご相談は、以下の「電話番号(受付時間 9:00〜12:00、13:00~18:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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同一労働同一賃金に関するメルマガ(2020年11月24日配信)

『同一労働同一賃金』に対応できる『雇用契約書』とは…?!
□■□━━━━━━━━━━━━━━━━━
雇用契約書がないと
━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□

雇用契約書がないと、
会社と従業員の間で
トラブルが起きたときに
会社側が圧倒的に不利になります。

これ、本当です。

従業員との間で、
ひとたび
トラブルが起きたときに
雇用契約書において
ルールを決めておかないと、
非常に困ることになります。

□■□━━━━━━━━━━━━━━━━━
損害が大きい…
━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□

雇用契約書に不備があって
従業員から数百万円単位で
お金を請求されたという話も
結構あります。

また
雇用契約書にミスがあって、
助成金がもらえない…
なんて話も結構あります。

□■□━━━━━━━━━━━━━━━━━
同一労働同一賃金が始まると
━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□

同一労働同一賃金が始まると
正社員とパート、契約社員の
仕事の「差」を明確にしないといけません。

つまり、
・仕事の内容
・職種の差
・責任の程度
・人材活用の範囲
 (職種の変更、転勤の有無)
なども考慮した上で、

雇用契約書に
意識して書いておくことが
必要になります。

もちろん、
・就業規則
・人材活用の仕組み
・職務内容
も意識して
作っていく必要があります。

□■□━━━━━━━━━━━━━━━━━
雇用契約書はプロのチェックが必要
━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□

従業員側が、
「〇〇と言われた」と
労働基準監督署に訴えたとき…

雇用契約書がないと、
その主張は
基本的に認められてしまいます。

人事に関するトラブルが
起こる前の対策として、
雇用契約書はキチンと作りましょう。

そして、
よくあるひな型の雇用契約書や
雇入れ通知書を使うと、
知らぬうちに「損」をします。

会社を守る「知恵」が
組み込まれていないからです。

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「同一労働同一賃金」に関連するお役立ち動画をご紹介します。

https://youtu.be/mGpGJwi6Mes

そのほかにも、人事労務に関する動画を多く配信しています。ぜひご活用ください!

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まとめ

同一労働同一賃金の進め方について、それぞれの手順、注意点などを解説いたしました。

今回の法改正を会社を強くするチャンスと前向きにとらえ、コロナショックを含め対応することをおススメします。
また、従業員とのトラブルを防ぐためにも、一度専門家に相談しておくと安心です。

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