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2021.08.04

【2021年度最新版】キャリアアップ助成金の変更点を紹介!

2021年の4月から適用となった、キャリアアップ助成金の変更点について紹介します。今回もいくつかのコースで条件が変更されているほか、コースの新設や措置の延長もありました。それぞれ詳しく紹介しているほか、コースの基本情報も掲載していますので、でぜひチェックしてください。

キャリアアップ助成金の5つの変更点

まず2021年の改定でキャリアアップ助成金がどのように変更されたか紹介します。今回は大きく分けて5つの変更点がありました。

変更点があったのは「正社員化コース」「障害者正社員化コース」「諸手当制度等共通化コース」「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」です。では次の項目でさらに詳しく見ていきましょう。

正社員化コースの支給要件と加算措置が変更

出典:キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~ 令和3年4月1日以降変更点の概要~

正社員化コースは「支給要件」と「加算措置」が変更、支給要件は賃金の増額率が5%から3%に引き下げになりました。また賃金の算出方法が「基本給および定額で支給される諸手当を含む賃金の総額」となり、賞与を含めない額となった点がポイントです。

加算措置では、それぞれの以下の状況パターンに分けて追加金額が決められています。

  1. 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合 28万5,000円
  2. 母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合 9万5,000円
  3. 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合 9万5,000円
  4. 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合<1事業所当たり1回のみ> 9万5,000円

この中で③が廃止になり、④の対象として新たに短時間制社員制度が追加されました。

 

障害者正社員化コースを新設

2020年度末に障がい者雇用安定助成金が廃止されたため、障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)にあった「正規・無期転換」措置を障害者正社員化コースに移管しました。

障害者の雇用を促し、職場定着を図ることが目的のコースです。「有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換」もしくは「無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換」することで助成金が受け取れます。支給額は以下の通りで中小企業は総額45~120万円まで受け取れる仕組みです。

出典:キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~ 令和3年4月1日以降変更点の概要~

諸手当制度等共通化コースで支給要件が変更

諸手当制度等共通化コースは健康診断制度コースとの統合により、支給要件が変更となりました。対象となるのは「有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合」と、有期雇用労働者等などを対象とし「法定外の健康診断制度」を新たにつくり、4人以上に実施した場合です。

変更となるのは支給要件で、これまでは11種類の手当が該当していましたが2021年度から「賞与・家族手当・住宅手当」以外の項目が削除されました。代わりに「退職金・健康保険制度」が追加され、以下の注意書きが付いています。

出典:キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~ 令和3年4月1日以降変更点の概要~

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの時限措置延長

こちらのコースは2021年度限りの限定措置でしたが、2023年9月末まで延長となりました。ただし従業員が100人を超える場合は、一部の加算措置を除き2022年9月末までの延長となっていますので注意してください。

対象となるのは「非正規雇用の従業員や短時間労働者に対し、より手厚い年金や保険制度などを導入した事業者」や「事業者が社会保険を有期契約の従業員に実施して保険者にし、基本給を増額した場合」です。

助成金は事業所と従業員のどちらにも支給。事業所の場合は中小企業で通常19万円、生産性の向上が見られた場合は24万円、従業員は1万9,000~13万2,000円まで支給されます。また研修制度や評価制度など、生産性を向上させる取り組みを行えばこれに10万円が加算されます。

※大企業は上記の75%の額を助成

出典:キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~ 令和3年4月1日以降変更点の概要~

短時間労働者労働時間延長コースの時限措置延長

こちらのコースも同様に、2021年度限りとしていた措置が2023年9月末までの延長になりました。こちらは「短時間労働者の労働時間を週5時間以上延長し、新しく社会保険を適用した場合」や「労働者の収入で手取りが減らないように労働時間を週1~4時間延長、基本給も上げて新たに社会保険を適用した場合」に適用されます。

助成額は前者が22万5,000円、後者は4万5,000円~18万円です。大企業は上記の約75%の額になるほか、生産性の向上が認められた場合は約125%の金額が支給されます。

出典:キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~ 令和3年4月1日以降変更点の概要~

そもそもキャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(正社員待遇を受けていない無期雇用労働者を含む)の企業内でのキャリアアップを促す取り組みを実施した事業主に対して助成をする制度です。

有期雇用労働者は契約社員や期間雇用労働者、短時間労働者はパート・アルバイトや日雇労働者、派遣労働者は派遣元の会社と雇用契約を結んでいる労働者のことを指します。これらの非正規労働者を正社員にするなど、処遇をよくするための取り組みを行った企業に対して助成金が支給されます。

キャリアアップ助成金の支給対象や要件

全コースに共通して、キャリアアップ助成金の支給対象となる企業は以下の要件を満たなければいけません。また企業が雇用保険を適用していることも必須条件ですので注意してください。

  • 保険適用の事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている
  • 保険適用の事業所ごとに対象者のキャリアアップ計画者を作成する
  • 管轄労働局長の受給資格認定を受ける
  • 取り組み実施日の前日までにキャリアアップ計画書を提出する
  • 対象者の労働条件や勤務実態、賃金の支払い状況がわかる書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにできる事業主であること
  • キャリアアップ計画の期間内にキャリアアップに取り組む

キャリアアップ助成金の申請方法

キャリアアップ助成金を申請する場合の基本的な流れは以下の通りです。

  1. キャリアアップの取り組みを実際に行う日までに「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の労働局に提出する
  2. 「キャリアアップ計画書」に基づいて取り組みを行う
  3. キャリアアップ助成金の申請を行い、審査の結果支給が決定する

③の申請に必要な書類はコースごとに違うため、それぞれ管轄の労働局で詳しく確認しましょう。またキャリアアップ計画の作成援助や就業規則の改定に関するサポートなどは労働客やハローワークでも受け付けています。

キャリアアップ助成金で変更点がある4つのコースを紹介

次にキャリアアップ助成金で2021年に変更点があった5つのコースの内、既存のコースである「正社員化コース」「諸手当制度等共通化コース」「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」について詳しく紹介します。

条件の変更に伴い、これらのコースで申請を検討している方はぜひチェックしてください。

正社員化コース

正社員化コースは、非正規雇用の従業員を正規雇用や無期雇用へ転換し、直接雇用を促すためにつくられたコースです。有期雇用労働者を正規労働者に転換、もしくは直接雇用した場合に助成金が支給されます。

助成金の支給額は中小企業で、有期雇用から正規雇用に転換した場合生産性の向上なしで57万円、向上ありで72万円です。また有期雇用から無期雇用、もしくは無期雇用から正規雇用になった場合は生産性の向上なしで28.5万円、向上ありで36万円になります。大企業の場合はこれの75%の額が支給されます。

ただし支給申請の上限が定められており、企業の規模に関係なく1年度1事業所あたり20人までとなっていますので注意しましょう。

諸手当制度等共通化コース

2021年4月1日に健康診断制度コースと統合されたコースで、非正規労働者の処遇改善を促すために作られました。有期雇用労働者に対し、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新しくつくり適用した場合や、有期雇用労働者が対象の法定外の健康診断制度をつくり、4人以上に実施した場合に助成金が支給されます。

助成金の支給額は中小企業の場合で1事業所1回のみ38万円を支給。また加算措置として2人目以降の労働者1人につき1.5万円と、同時に共通化した諸手当の2つ目以降に16万円が支給されます。

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、非正規雇用労働者の社会保険や年金、健康保険への加入を促すことを目的としたコースです。また社会保険加入により手取りが減ってしまわないよう、加入時に基本給を挙げることがセットとなっています。

対象となる事業者の要件や、助成される支給額に関しては「キャリアアップ助成金の5つの変更点」の見出しで詳しく紹介していますので、そちらをチェックしてください。

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースは、短時間労働者(パート・アルバイト)の社会保険加入希望や、加入することで収入の手取りを減らしたくないという要望に、事業主が応えられるようつくられたコースです。

こちらも詳しい要件や支給額は「キャリアアップ助成金の5つの変更点」で紹介しています。ただし、2022年度予算の成立や雇用保険法施行改正が前提となっており、今後また時限措置が変更される可能性がありますので、動向には注意しましょう。

東京都内の企業に限り追加で助成金の支給が可能

今回紹介したキャリアアップ助成金に加え、東京都では労働環境の整備を行った企業に対して助成金を支給しています。そこで最後に、この東京都の助成金ついて詳しく紹介します。

対象となる企業や要件、金額など、支給金を受け取るために必要な情報について解説していますので、東京都内の企業の方はぜひチェックしてください。

助成金の支給対象や要件は?

支給の対象となるのは東京労働局管内に雇用保険適用事業所を置き、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けた中小企業です。また対象者に対し3ヵ月以内に以下の支援を行う必要があります。

  • 対象者の指導育成計画(3年間)をつくる
  • 対象者の指導育成者を選定し指導させる
  • 対象者に上記育成計画に基づく研修を実施させる

助成される金額は?

事業者に支給される金額は、対象者が3人までであれば1人につき20万円が支給され、それ以上の人数になる場合は一律で60万円となっています。また現在対象者に対する退職金制度がない状態で、新たに退職金制度を導入した場合は加算が可能です。

その場合上記の助成額に加え、1事業者あたり1回限定で10万円が支給されます。

キャリアアップ助成金の変更点は早めの確認を

今回はキャリアアップ助成金の変更点について詳しく紹介しました。

条件の変更により助成金が受け取れなくなれば、それまでに費やしてきた時間やコストが無駄になってしまいます。また条件の緩和により助成金を受け取れる状況になっていると気づかなければ、損をすることになるでしょう。

キャリアアップ助成金の変更点は早めにチェックし、素早い対応を心がけましょう。

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