こんにちは
「人事労務で日本を元気に!!」社会保険労務士の牧野です。
突然ですが、助成金をもらったことはありますか?
今回は、助成金のなかの1つ「キャリアアップ助成金【正社員化コース】」について解説します。
この助成金は、比較的活用されている企業が多く、まだ助成金を申請したことがない企業でも取り組みやすいと思います。
そしてこれから
「事業を拡大するために、新たに人を雇おう!」
「派遣社員を正社員にしようかな。」
そんな経営者へおすすめの、人を雇う=国から最大108万円の助成を受けることができる助成金です。
しかし、残念なことに、この助成金を知らずに従業員をキャリアアップしてしまい、助成金を申請できていない経営者もいらっしゃるのも事実です。
でも、ご安心ください。
今回、最後まで読んで頂くことで以下5つを理解していただけます。
そして、自社にキャリアアップ助成金の対象者がいるのか確認ができるので、しっかり活用してくださいね。
① 助成金の目的
② 助成金額と対象労働者
③ 手続きの流れ
④ 受給するための注意事項
⑤ 自分でやるかプロにまかせるか
それではさっそくはじめましょう!!
助成金額と対象労働者
1. キャリアアップ助成金正社員化コースとは
このコースは事業拡大を検討している企業の経営を助け、雇用の維持や促進することを目的に、厚生労働省が中心となって取り組んでいる公的助成金の一つです。
財源は企業が支払っている雇用保険からでていて、日本国内の非正規労働者の減少につなげるため、厚生労働省が特に力を入れていることろです。
そして、今回解説する助成金は借入と違って利息の支払や返済義務は一切ありません。
有期雇用労働者等の「非正規労働者を正社員に転換等」すればしっかり受給することができる制度です。
多くの企業が対象になるとても大切な助成金です。
2. 3つのパターンと加算金額
受け取りパターンには大きく分けて3つの方法があります。
- 有期雇用から正規雇用
- 有期雇用から無期雇用
- 無期雇用から正規雇用
※ここでいう「有期雇用」とは期間の定めのある労働者、「無期雇用」とは期間の定めのない労働者、「正規雇用」とは企業が定める所定労働時間を労働し無期雇用での契約をしている労働者をいいます。
今回は、初めて見る方でもわかりやすいように
A.自社従業員の場合、B.派遣従業員の場合の2つにしぼって確認していきます。
これ以外の細かい内容についてはリンクを張っておきますので、ご興味ある方はご参考ください。
【A.自社従業員が対象の場合】
雇用パターン | 受取金額 | 生産性要件を満たす場合 |
---|---|---|
有期雇用から正規雇用 | 57万円 | 72万円 |
有期雇用から無期雇用 | 28.5万円 | 36万円 |
無期雇用から正規雇用 | 28.5万円 | 36万円 |
詳細はこちら →令和2年4月1日現在、厚生労働省資料※P6参照
【B.派遣従業員が対象の場合】
雇用パターン | 受取金額 | 生産性要件を満たす場合 |
---|---|---|
有期雇用から正規雇用 | 85.5万円 | 108万円 |
有期雇用から無期雇用 | 57万円 | 72万円 |
詳細はこちら → 厚生労働省資料
ざっくりお話すると、パートの方を上記表のような雇用形態に変更して厚生年金健康保険や雇用保険に加入させれば最大57万円、派遣労働者なら最大85.5万円です!
ここはしっかり抑えておきましょう。
さらに、雇用形態の変更によって、直近の企業の生産性が3年前と比較して1~6%伸びている場合(生産性要件を満たす場合)に一定の加算があり、最大で108万円の助成金が受け取ることができます。
生産性とは次の計算式で計算します。
出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」
生産性要件についてはこちらをご参考にしてください → 厚生労働省資料※P9参照
それでは、大まかな内容が把握できたところで、次にどのような手続きを行えば今回の助成金がもらえるのか詳しく確認していきましょう!
手続きの流れ
1. キャリアアップ管理者の選定および計画書の提出
雇⽤保険適⽤事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意⾒を聴いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局⻑の確認を受けます。
・「キャリアアップ管理者」の選定
キャリアアップ計画をすすめる人のことで、1事業所あたり、1名配置します。
・「キャリアアップ計画」の作成 具体的には、目標・期間・内容等です。
非正規雇用労働者の正規雇用化や無期雇用化に向けた取り組みを計画的に進めるために、今後のおおまかな取り組みをあらかじめ記入します。
計画書の書式と、申請時のチェックリストを貼っておきますので、よろしければご覧になってください。
・「キャリアアップ計画書」書式
・【正社員化コース】チェックリスト
2. 計画書に基づき就業規則を改定
キャリアアップ計画書をもとに就業規則の変更を行い、労働基準監督署へ届け出ます。
就業規則の記載ポイントは3つ あります。
2. 対象者の要件
3. 転換実施時期
3. 取組後6ヵ月賃金を支払った後に転換
就業規則をもとに対象者について面接、筆記、実技等をおこない転換させる。
転換後の新しい「労働条件通知書」や「雇用契約書」の交付も必ず行いましょう。
4. 支給申請
転換後、6ヵ月の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に申請します。
届け出場所は「事業所の所在地を管轄する労働局」になります。
・転換制度または直接雇用制度が規定されている労働協約または就業規則など
・対象の労働者の雇用契約書、賃金台帳、タイムカードなど
・中小企業事業主であることを確認できる書類(登記事項証明書や所定の事業所確認表)
ここまで手続きができれば、労働局から支給決定通知書を待つのみです。
受給時期は支給申請からおおむね2ヵ月~6ヵ月です。
ここまでの手順についてのわかりやすい表になります。
受給するための「チェックポイント11」
「手続きを完璧にやったのに肝心の助成金が不支給になった!」とならないように、こちらは必ずお読みください。
1. 雇用保険適用事業主
雇用保険の適用事業所である。
※個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の場合以外は、人を雇えばすべて強制加入
2. 36協定の提出
労基法違反による不支給決定は非常にもったいないです。
まずはご自身の会社で従業員に残業指示ができるのかどうか
36協定提出済の確認をお願いします。
3. 確定労働保険料と概算保険料
毎年、適切に労働保険料及び概算保険料の納入がなされているかも重要です。
その際、従業員の雇用保険加入漏れがないかどうかも一度チェックしておきましょう。
4. 労働法令順守
働いている従業員に関して労働基準法に違反していないかどうかも厳しくチェックされます。
【チェック項目】
・時間外労働、休日労働、深夜労働に関する手当
・有給休暇付与日数など
特に赤字のところは単に支払っているだけでは不支給になる可能性があります。
労働基準法に記載された通りの賃金計算で支払う必要があります。
もちろん各地域によって定められている最低賃金も守る必要があります。
5. 会社都合による解雇
従業員が会社をやめる場合は大きくわけて5つです。
①会社都合の解雇
②期間満了による退職
③自己都合退職
④退職勧奨
⑤懲戒解雇
この中で「①会社都合の解雇」が助成金不支給に該当します。
具体的には
・法的倒産及びそれ以外の事業廃止、事業の再開見込みなし
・リストラ等による解雇
・希望退職の募集(早期退職者優遇制度は該当しない)
などが該当します。
「④退職勧奨」も場合によっては会社都合の解雇に該当します。
退職勧奨 → 自ら退職を会社に伝える → 自己都合退職
このパターン以外は会社都合の解雇に該当しますので要注意です。
※従業員から失業保険を早くもらいたいから希望退職にしてほしいと言われ、希望退職にした場合も、事業主都合による解雇とみなされます。従業員のためにした行為が結果的に助成金の不支給につながります。要件の解釈をしっかり行うことが重要です
6. 転換後の賃金上昇要件
転換する際に転換前6か月の合計賃金と転換後6か月の合計賃金で、後者が前者よりも5%以上増えていること。
<賃金計算に含める手当> | <賃金計算に含めない手当> |
---|---|
基本給 | 時間外手当※固定残業代を含む |
就業規則や賃金規定通りに支給される賞与 | 歩合給 |
毎月固定的に支払われるもの | 通勤手当 |
単に5%上昇といっても「含めるもの」と「含めないもの」の要件は非常に細かいです。
せっかく申請までいったのに不支給とならないよう気をつける必要があります。
資料を載せておきますのでご確認ください。
→ 厚生労働省資料※P24参照
7. 対象労働者の勤続年数
転換前に採用されていた期間が3年以下の労働者が対象。
8. 転換後の雇用保険加入
転換後の雇用保険加入は必須。
9. 申請日時点での従業員の在籍状況
申請日時点で対象者が離職している場合、対象外。
10. 従業員の親族要件
事業主の3親等内の親族でないこと
1親等:父母、子
2親等:祖父母、孫、兄弟姉妹
3親等:曾祖父母、曾孫、おじ・おば、おい・めい
※上記記載の対象者の配偶者も含めます。
11. 一年度の申請上限人数
20人です。抑えておきましょう。
自分でやるか、プロにまかせるか
いよいよ最後のパートです。ここまで読んで頂きありがとうございます。
それではいきましょう!!
1. 自分でやるメリット
・プロに頼む顧問料や成功報酬が一切かからない。
プロに頼むと、企業規模によっても違いますが顧問契約料や成功報酬の15~20%
を支払う必要が出てきます。
より多くの助成金を申請することで金額は大きくなるので、社内で完結できるのであれば理想です。
2. プロにまかせるメリット
助成金の申請は提出書類が多いことや就業規則の変更等とても複雑で、受給までには最低でも1年数か月はかかる助成金です。そこまで辛抱したのに不支給となっては目も当てられません。
労働法令に精通した社労士にまかせれば本業に支障をきたすことなく、助成金を受け取る確率が大幅にUPします。加えて就業規則の見直しも同時に行うことで、従業員からの訴訟リスクを未然に防ぐルールブックをより強固なものにすることも期待できます。
3. 結論
最大限に助成金を活用したいなら、 「詳しい社労士」にまかせる。
こちらがおすすめです。会社内に、組織的に助成金申請の仕組化ができていれば別ですが、そのような仕組みをもっている企業は少ないと思います。
私はこの業界にきて約30年になります。
過去にいろいろな助成金申請に携わってきましたが、中小企業のリーダーはとても忙しいので助成金の申請に指示をしたり、自分で作成する時間的余裕がない方がほとんどです。
本業に注力し、せっかく申請するなら最大限活用できるように、 プロの判断の下で行った方が、助成額が増えることは結構あります。
中小企業のリーダーの本業へ取り組む時間を確保し、助成金を最大限に受給して、会社を強くする・社員を幸せにするために、助成金申請代行を詳しい社労士に依頼しましょう!
社会保険労務士法人ロームは「充実したサポートを提供できます!」
ロームの「キャリアアップ助成金」についてのサポート内容をご紹介したいと思います。
ロームは、3年間で29億円助成金申請実績がある、助成金が得意な社労士事務所です。(期間は2017年2月~2020年2月)
さらに、2020年7月に、助成金のスポット申請を行う「ローム池袋」を合併し、助成金についての詳しい専門スタッフが増えました。
もし、「助成金を申請したことがない」企業様や「自分で申請できるか不安」な企業様、「自社でやろうと思ったけれどやっぱり任せたほうがいいのかなと悩んでいる」企業様がいらっしゃれば、是非ご相談ください。個別に診断させていただきます。
無料相談を実施しています!
ロームは、初回相談無料となっておりますので、お気軽にご相談いただけます。
そしてロームの助成金についての考え方を少しお話させてください。
ロームでは、 「助成金」はそのお金を使って会社をさらに強くする、もっと良い労働環境を作る など、その助成金を使った会社の取り組みが非常に重要だと考えています。
助成金をもらうだけでは、会社は強くならないと思っているからです。
助成金は、国が強化したい施策について助成するもので、企業が導入して活用できるお金です。
経営者の皆様には、もらうだけではなくさらに会社を強くしていくために、具体的な活用方法を考えて申請されることをおすすめしています。
もし、「助成金は申請したいけど、会社を強くするために具体的にどうやって助成金を活用したいかわからない」そういった方も、よろしければ無料相談へお申し込みください。
まず徹底的にお客様の状況をヒアリングさせて頂きます。これは、お客様ごとに「状況」が大きく異なるためです。入念なヒアリングによって状況を適切に把握することが、最適な解決策や改善方法のご提案に繋がります。
もちろん、守秘義務を遵守いたしますので、ご安心ください。相談したいことがまとまっていない方も、まずはお気軽にご相談ください。お話いただくことで問題が整理されます。
そして、私たちが問題を解決させていただくことで、気持ちが楽になるかと思います。
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ロームについて詳しくは、「当事務所の8つの特徴」をご覧ください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。社会保険労務士法人ロームには助成金専門部署があります。
最新の情報をいち早く入手してお客様のニーズにお応えしております。
ここまで読んで頂いた経営者のあなたはどう感じましたか?
ご興味あれば一度お電話してみてはいかがでしょうか。スタッフ一同心よりお待ちしております!
本日は、最後までお読みいただきありがとうございました。