近年、仕事によってストレスや疲労を受ける人が増えています。
仕事のストレスを原因とする「精神障害の労災認定者」が増加しているのをご存じでしょうか?
平成25年の日本の自殺者数は27283人と、世界でも高い水準となっています。
さらに、15歳から34歳の若い世代で死因が1位となっており、これは先進国のなかでは日本だけに見られる由々しき問題です。
この状況を打破すべく、平成27年に労働安全衛生法によってストレスチェックが義務化されました!
ここではストレスチェックの目的と、人事・労務管理者が行わなければいけない業務についてご紹介します。
ストレスチェックが持つ目的
企業が労働者にストレスチェックを行うよう義務化されたのは平成27年12月のことです。平成18年に厚生労働省が「労働者の心の健康と保持促進のための指針(※通称・メンタルヘルス指針)」を発表して以降、事業者が労働者の「心の健康」を保持することを意識するようになりました。
ですが、依然として労災認定される労働者が増加傾向にあったため、ストレスチェックが義務化されたのです。
労働者のストレスの気づきと対処、職場環境の改善を通して、メンタルヘルス不調を減らすことを目的としています。
メンタルヘルスの予防は次の3つに分けられます。
- メンタルヘルス不調になることを未然に防ぐ「一次予防」
- メンタルヘルス不調を早期に発見し、対処する「二次予防」
- 労働者自身のストレスへの気づきと対処の支援、及び職場環境の改善を行い労働者の職場復帰を目指す「三次予防」
人事・労務担当者が行うべき業務
ストレスチェック義務化では、最低限やらなければいけない義務領域と、可能な限り取り組むべき努力義務領域、労働環境を適切に保つために行うべき推奨領域があります。
義務領域
- ストレスチェックの実施体制づくり
基本方針の作成と表明、規定作りなど。 - ストレスチェックを行う医師・事務従事者などの確保
- 労働者へのストレスチェック実施の周知
- ストレスチェックによって派生する個人情報のセキュリティ環境の整備
- ストレスチェック後に医師面接を申請するフローの作成
・面接指導を行う医師の確保
・情報を5年間記録、保管する場所とセキュリティの設置
・労働基準監督署への実施報告業務
努力義務領域
- 職場ごとでの、ストレスチェック結果の分析(組織分析)
- 組織分析の結果を受けた上での環境改善
推奨領域
・外部相談窓口の設置
事業者が行うストレスチェックとは別に個人で相談することができます。
事業者が勧めた医師面接を申し出なかった(ストレスや不安などによって申し出られなかった)高ストレス者の受け皿の役割もあります。
・従業員へのメンタルヘルス教育
・ストレスなどメンタルヘルスを専門とする医師の確保
「ストレスチェック義務化」という言葉を受けて、ただストレスチェックを行うだけではストレスチェックの目的に適うものにはなりません。事業者が行うストレスチェックとは別に個人で相談することができます。
事業者が勧めた医師面接を申し出なかった(ストレスや不安などによって申し出られなかった)高ストレス者の受け皿の役割もあります。
・従業員へのメンタルヘルス教育
・ストレスなどメンタルヘルスを専門とする医師の確保
ストレスを抱えた労働者のケアと環境の改善を行うことこそが、ストレスチェック義務化の真意なのです。
労働者の心の健康を保つことが、気持ちのいい職場環境づくりに、ひいては会社の生産性の向上にもつながります。
ストレスチェック義務化の体制を整える方は、積極的に推奨領域まで行えるよう取り組むことが大切です。