2026.03.04

【2026年版】ベースアップを毎年続ける方法|営業利益と賃上げ原資の正しい設計とは?社労士が解説

「賃上げしないと人が採れないのではないか」
「物価上昇・最低賃金引き上げ・同業他社のベースアップ…取り残されるのではないか」
そんな不安を抱えていませんか。

いまは“ベースアップをするかどうか”ではなく、“毎年ベースアップを続けられるかどうか”が問われる時代です。

しかし――
勢いで賃上げをしてしまい、翌年に資金繰りが苦しくなる。
社員との温度差が広がり、不満が残る。
利益が出ていないのに固定費だけが増える。

こうした経営リスクを抱える会社も少なくありません。
この記事では、
中小企業が毎年ベースアップを継続するために必要な「営業利益の設計」と「社員との共有」について、社労士の視点から詳しく解説します。

なぜ今、ベースアップが“前提”の時代になったのか

2024年以降、最低賃金の引き上げ、物価上昇、人材不足の深刻化により、企業には持続的な賃上げが求められています。
最低賃金の毎年改定

  • 大企業の賃上げ報道
  • 採用市場の競争激化
  • 物価上昇による生活コスト増加

これらが重なり、「ベースアップ=特別な施策」ではなく「標準」になりました。

しかし、ここで重要なのは――
一度上げた給与は、原則として下げられない(労働条件不利益変更の問題)
つまり、ベースアップは“固定費の恒久的増加”なのです。
だからこそ、感情や勢いではなく、経営設計として考える必要があります。

毎年ベースアップを続けるために必要な2つの条件

営業利益という「賃上げの源泉」

ベースアップの原資は何か。
答えは明確です。
営業利益です。
売上ではありません。
キャッシュ残高でもありません。

営業利益=本業で生み出した継続可能な利益こそが、賃上げの持続可能性を決めます。
なぜ営業利益が重要なのか
営業利益が安定的に増えていなければ、次のような事態が起きます。

  • 翌年の賃上げができない
  • 賞与削減で調整せざるを得ない
  • 設備投資や採用を止める
  • 資金繰り悪化

つまり、無理なベースアップは将来の経営判断を縛ります。
「無い袖は振れない」これは経営の原則です。
ベースアップを毎年行うには、

  • 営業利益率の改善
  • 付加価値の向上
  • 価格改定の実施
  • 生産性向上

こうした“利益構造の改革”が前提になります。

営業利益と給与を「社員と共有」できているか

2つ目の条件は、社員との共有です。
社員が、「営業利益が増えれば、自分たちの給与が上がる」と理解しているかどうか。
ここがつながると、会社は大きく変わります。

共有がもたらす変化
営業利益と給与が連動していることを理解すると、

  • 価格交渉に前向きになる
  • 原価意識が高まる
  • ムダな固定費削減が進む
  • 生産性向上が自分事になる
  • 部門間の連携が強化される

営業利益は社長だけのテーマではなく、全社のテーマになります。

社長がよく誤解していること

誤解①「とりあえず上げれば士気が上がる」

一時的には上がります。
しかし翌年上げられなければ、失望に変わります。

誤解②「売上が伸びているから大丈夫」

売上増=利益増ではありません。
利益率が下がっていれば、原資は増えていません。

誤解③「社員に利益の話をすると反発される」

正しく伝えれば逆です。
数字を見せないことの方が不信感を生みます。

失敗するとこうなる:ベースアップの落とし穴

  • 利益が出ずに固定費だけ増える
  • 賞与で調整しようとして不満が拡大
  • 労使トラブルの増加
  • 労働条件の不利益変更問題
  • 遡及対応のリスク

ベースアップは「良いこと」ですが、設計を誤ると経営リスクになります。

会社としてのチェックリスト

御社はどうでしょうか。

  • 営業利益目標を明確にしている
  • 営業利益率を毎月把握している
  • 人件費率を管理している
  • ベースアップの原資計算をしている
  • 社員に利益構造を説明している

一つでも曖昧なら、毎年ベースアップを続ける体制は未完成です。

ベースアップを“仕組み化”するという発想

重要なのは、
「今年どうするか」ではなく
「毎年どう回すか」です。
そのためには、

  • 賃金制度設計
  • 人事評価制度との連動
  • 就業規則の整備
  • 利益計画との連動設計
  • 社会保険料・労働保険料の影響試算

こうした総合的な設計が必要です。

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