
――社内人材を活かし、粗利意識まで育てる新しい仕組みを社労士が解説
「人が足りない」のに、余力が眠っているという違和感
「今月はどうしても人手不足」
「別の拠点は少し落ち着いていると聞くが、応援を頼むのも難しい」
多くの中小企業の社長が、こうした状況に心当たりがあるのではないでしょうか。
慢性的な人手不足が続く一方で、会社全体を俯瞰すると、部署間・地域間・時期による繁閑差が確実に存在しています。
ただ現実には、
- 忙しい部署は常に忙しいまま
- 比較的落ち着いている部署の余力は活かされない
- 「仕方ない」「構造的に無理」で放置される
というケースが少なくありません。
これは怠慢ではなく、仕組みがないことが原因です。
そんな中、「同じ会社の中でもっと助け合えるのではないか?」という問いに、制度として答えを出した企業があります。
それが、株式会社タカミヤが導入した、いわゆる「コイン制度」です。
本記事ではこの事例を軸に、
- なぜ今、中小企業にとって重要なのか
- 人手不足対策にとどまらない経営的意味
- 社長が判断を誤りやすい実務ポイント
を、社労士が横で説明している感覚で、できるだけ噛み砕いて解説していきます。
今この記事を読む意味は明確です。
このテーマを知らないままだと、「人がいない前提」でしか経営判断ができなくなるからです。
コイン制度とは何か|「社内業務委託×社内通貨」という発想
社外に出していた仕事を、社内で回す仕組み
コイン制度を一言で表すなら、
社内で仕事を発注・受注し、その対価を社内通貨でやり取りする仕組みです。
具体的には、
- 部署Aが忙しいとき、部署Bに仕事を依頼する
- 依頼された側は、業務量や内容に応じて「コイン」を獲得する
- コインは期末に賞与などの形で還元される
つまり、社外に外注していた仕事、もしくは我慢していた業務を、社内で正式に「取引」するという考え方です。
重要なのは、「手伝い」「善意」「お願い」ではなく、業務として成立させている点です。
なぜ「お金」ではなく「コイン」なのか
ここで多くの社長が疑問に思うのが、
「結局、お金と何が違うのか?」
という点でしょう。
社内通貨にすることで、
- 人件費とは切り離して管理できる
- 短時間・スポット業務も評価しやすい
- “社内市場”として可視化できる
というメリットが生まれます。
特に中小企業では、制度設計が止まりがちです。
「残業代をどうするか」「評価との整合性」などで制度設計が止まりがちですが、
コインという中間的な単位を使うことで、現実的運用が可能になります。
制度の中身|人手不足対策にとどまらない実務活用
実際に行われている業務の例
この制度で行われているのは、単純作業の肩代わりだけではありません。
たとえば、
- 他拠点の受注処理・顧客対応のサポート
- 韓国語・ベトナム語などの翻訳業務
- プロモーション動画制作
- 製造部門による整備・メンテナンス支援
ここで注目すべきなのは、
「その人が本来の部署では使っていないスキル」が活かされている点です。
スキルの見える化が、人を動かす
同社では、社員が自分のスキルを登録できる仕組みを整え、
現在では100種類以上のスキルが可視化されています。
これは実務的に非常に重要です。
社長や管理職が把握しているスキルは、
どうしても「今の業務で使っているもの」に限定されます。
しかし実際には、
- 昔の職歴
- 趣味レベルだが実務に使える能力
- 副次的に身につけたITスキル
など、眠っている戦力が多く存在します。
それを「登録できる」「評価される」形にしたことで、社員側も動きやすくなっているのです。
なぜこの制度が生まれたのか|背景にある経営判断
繁閑差とリモートワークの現実
導入の背景には、経営トップの明確な問題意識がありました。
- 地域や季節による業務量の差が大きい
- 閑散期に余力が生まれてしまう
- コロナ禍でリモート業務が一気に進んだ
これらが重なり、
「同じ会社の中で、もっと柔軟に助け合えないのか」
という問いに行き着いたのです。
ここで重要なのは、精神論に頼らなかったことです。
「忙しいところを助けよう」では、長続きしません。
制度として設計したからこそ、回り始めたのです。
粗利意識が育つ理由|マネジメントと社員の変化
仕事を「原価」で見るようになる
コイン制度の副次的な効果として、
粗利意識の醸成があります。
仕事を受ける側は、
- 「この業務に何時間かかるか」
- 「この内容でこのコイン数は妥当か」
を考えるようになります。
一方、発注する側(管理職)は、
- 「この仕事を外注したらいくらか」
- 「誰に頼むのが最も効率的か」
という視点を持つようになります。
結果として、
- 単純作業は単価が上がりにくい
- 専門スキルは評価されやすい
という、経営的には当たり前だが、社内では曖昧になりがちな感覚が共有されていきます。
社長が見落としやすい実務ポイント
「良さそうだからやる」が一番危ない
この制度を見て、
「うちも真似すればうまくいくのでは」
と感じる社長も多いでしょう。
ただし、注意点もあります。
- 労働時間管理との関係
- 評価制度・賞与との整合性
- 就業規則・賃金規程との関係
これらを整理せずに導入すると、後から制度が足を引っ張ることになります。
実務ではどうズレやすいか
よくあるのは、
- コイン業務がサービス残業化する
- 一部の社員に負荷集中する
- 評価と連動せず、不満が出る
といったケースです。
だからこそ、制度設計の段階で社労士が関与する意味があります。
よくある社長の誤解と、そのリスク
誤解①「うちは規模が小さいから無理」
規模の問題ではなく、
仕組みをどこまでシンプルに設計するかの問題です。
小規模だからこそ、人の余力を活かせたときの効果は大きくなります。
誤解②「社員が嫌がるのでは?」
制度として整理されていない善意の手伝いこそ、
社員は負担に感じます。
評価され、還元される仕組みがあれば、受け止め方はまったく変わります。
対応を誤った場合に起きること
最初は小さな違和感でも、
- 「あの人ばかり忙しい」
- 「評価が不透明」
といった声が積み重なり、
やがて人事トラブルに発展します。
さらに、
- 説明を求められる
- 行政対応が必要になる
- 是正や遡及対応が発生する
と、社長の時間とエネルギーが奪われていく構造になります。
いま一度、考えてほしいチェックリスト
以下に、YES/NOで考えてみてください。
- 繁忙期と閑散期の差を、仕組みで吸収できていますか
- 社員のスキルを、社長自身が把握できていますか
- 「誰が何をしているか」を説明できますか
- 外注している業務、本当に社内ではできませんか
答えは出さなくて構いません。
ただ、「このままの判断で良いのか」を考える材料にしてください。
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ロームでは、
- 制度対応の全体整理
- 社内説明資料の作成
- 就業規則・関連規程の改訂
- 社長の判断・実務負担の削減
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「どう判断すべきか」という経営視点から整理します。
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