2025.12.23

人手不足倒産が過去最多323件へ|中小企業が陥る“構造的リスク”と今すぐ取るべき対策

人が採れない。
社員が辞める。
値上げができない。

この3つの不安が重なったとき、会社は一気に倒れます。

2025年は、人手不足倒産が 過去最多ペース(1〜10月で323件・前年比30.7%増。特に 資本金1,000万円未満の小規模企業が6割以上 を占め、中小企業の社長こそ“最も危険なゾーン”にいます。

もし今、

  • 採用が難しい
  • 退職が続く
  • 利益が出にくい

という状況を放置すれば、来期の資金繰りではなく、“今”の構造が会社を倒す 可能性があります。

この記事では、

  • なぜ人手不足倒産が急増しているのか
  • どこに経営リスクが潜んでいるのか
  • 中小企業が今すぐ取るべき実務的対策

を、社長向けに具体的に解説します。

読み終える頃には、
“自社が倒産予備軍なのかどうか”
“何から手をつけるべきか”
がはっきりわかります。

制度のポイント

■ 人手不足倒産の定義

人手不足倒産とは、
「従業員の退職や採用難によって事業継続が困難になり倒産するケース」 のこと。
単なる採用活動の失敗ではなく、組織力・収益性・魅力の不足が複合的に起こる構造的倒産” です。

■ 2025年の特徴(過去最多ペース)

  • 1〜10月で323件(前年比30.7%増
  • 小規模企業が202件(前年比31.1%増
  • 内訳
    従業員退職:95件(53.2%増)
    人件費高騰:114件(37.3%増)

つまり今は、
「辞められたら終わる」「採れなければ詰む」時代 に完全に突入しています。

会社が負担する金額

人手不足倒産は、表面的な倒産額以上に会社へダメージを与えます。

■ 人が辞めたときのコスト

  • 採用広告費:10〜50万円(人材紹介会社を利用時は、100万円超も)
  • 面接・選考の時間コスト
  • 退職者の穴埋めのための残業代増加
  • 生産性低下による機会損失

■ 採用ができないときのコスト

  • 受注停止・売上減
  • 外注費の増加
  • 既存社員の疲弊 → 二次退職へ

■ 後継者不足・技術喪失のコスト

  • 事業承継不能 → 廃業
  • 技術断絶による取引減少

倒産は最終結果であり、実際に会社のキャッシュは“その前段階”で消耗し続けます。

経営者が注意すべきリスク

■① 値上げできない“ゾンビ経営”のリスク

以下の理由で価格転嫁を避ける会社ほど危険です。

  • 地域相場がある
  • 取引先に気を使う
  • 付き合いが長い

その結果、
「働くほど赤字が増える構造」 に陥ります。
人件費が上がるほど、倒産が早まります。

■② 魅力不足による採用難・退職増

辞める会社には共通点があります。

  • 給与が低い
  • 感謝されない
  • 将来性が見えない

特に、建設業の有効求人倍率が 6.26倍、専門工は 7.75倍 の“超売り手市場”。
魅力のない会社は採用以前にスタートラインに立てません。

■③ 【よくある誤解】

社長が特に陥りやすい誤解を挙げます。

誤解1:

「辞めるのは本人の問題だ」
→ 実際は“会社の仕組みの問題”であることが大半。

誤解2:

「値上げをしたらお客様が離れる」
→ 価格ではなく“説明不足”で離れているケースも多い。

誤解3:

「採用ができないのは景気のせい」
→ 求職者は常に求人を比較しており、“会社の魅力”が数値化されて見られています。

■④ 【失敗するとこうなる】

  • 退職→残業増→疲弊→二次退職が一気に連鎖
  • SNS・口コミで「劣悪」と出回り採用不能
  • 採用広告に毎月数十万使っても応募ゼロ
  • 社長が現場復帰 → 経営が不在 → 売上が急落
  • 最終的に受注停止・事業縮小から倒産へ…

“人”の問題は、放置すると必ず会社の根幹を折ります。

会社が今すぐ準備すること

■① 値上げできる価値づくり

  • 素材・工程・こだわりを“可視化”する
  • 接客・説明を強化し納得感を高める
  • ストーリーで差別化する

価値が伝われば、価格は必ず上げられます。

■② 社員を巻き込んだ利益改善

  • 利益=給与・賞与の源泉」を説明
  • 値引き禁止のルール化
  • 原価意識の徹底

社員の行動が“利益方向”へ揃い始めます。

■③ 口コミ × 接客強化

  • 作業後に必ず満足度を確認
  • 良い評価を得たら口コミを依頼
  • 評価の蓄積 → 価格競争から脱却

口コミは“最強の採用ツール”にもなります。

■④ 会社としてのチェックリスト

以下に1つでも該当したら、構造改善が必要です。

  • ここ1年で退職者が出た
  • 採用広告を出しても応募が少ない
  • 値上げを3年以上していない
  • 社長が現場に戻る時間が増えている
  • 利益率が年々下がっている
  • 「会社の魅力」を説明できない

該当数が多いほど倒産リスクが高まります。

よくある質問

Q1:値上げは本当にしても大丈夫?

A:正しい手順で説明すれば、大半の顧客は離れません。

Q2:採用はお金をかければ改善する?

A:広告費よりも“会社の魅力”を整えるほうが効果が大きいです。

Q3:社員が辞める理由を聞いても本音が出ない

A:退職理由は建前が多く、真因は“会社の仕組み”にあることが一般的です。

まとめ

人手不足倒産は“運”ではありません。
価格転嫁できない構造 × 魅力不足 × 退職連鎖
この3つが揃ったとき、会社は静かに崩れます。

しかし逆に言えば、

  • 価値づくり
  • 利益構造改善
  • 魅力の可視化
    を行えば、どの会社でも再生できます。

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ロームでは、
「人手不足でも勝ち残る、魅力ある会社づくり」
をテーマに、以下を“社長が丸投げできる形”で支援しています。

  • 人手不足倒産を回避するための要点整理
  • 社内向け説明資料の作成
  • 就業規則の改訂(離職防止・採用強化)
  • 組織づくりの仕組み化
  • 社長の負担を最小化した実務設計

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