社労士は、人事に関する法律のプロフェッショナルです。
依頼される方も多いですが、社労士がどんな資格で、何をしてくれるのかについてご存知ない方もまだまだいることでしょう。
はじめまして。わたしは社労士の牧野剛(つよし)と申します。上場企業を含む571社の顧問先にサービスを提供している社会保険労務士法人ロームの代表を務めさせて頂いています。
一般的に社労士に依頼される内容は
「助成金を申請したいけど、どうしたらいいか分からない」
「事務手続きが面倒で、任せる人もいない」などが挙げられます。
これだけで全てが伝わるわけではありません。 今日は、ちょっと解りずらい社労士の業務内容についてご紹介していきます。 メリットとお得な選び方は他の記事をご覧ください。
そもそも社労士とは
社労士は、労働関係や社会保険に関係する法令の知識を持った専門家です。
会社経営をする上で必要な「人事に関する専門的な書類の作成」や「行政機関への届出」を行うことができます。
また一般企業の事業主や、人事担当の方から社会保険に関する相談を受け、指導を行うなどコンサルティング業務も行います。
社会保険労務士が行う3つの業務
社労士の業務は主に3つに分けることができます。
・1号業務 【労働社会保険の法令に基づいた書類の作成・提出】
・2号業務 【労働社会保険の法令に基づいた帳簿書類の作成】
・3号業務 【人事、労務管理に関するコンサルティング】
3号業務は資格を取得していなくても行うことができますが、この業務だけで成立するものは多くありません。
以上のような事柄で依頼したいということがあれば、すぐにでも社労士に相談されてはいかがでしょうか。
どんな時に社労士に業務を依頼するか
社労士は労働災害、社会保険、労働保険に関する手続きや給与計算もできます。
事業主の方の気になる点について以下にまとめました。
まずは、労働社会保険関係の書類の作成・提出です。
労働社会保険関係の書類の作成・提出
- 社員の入・退職時の雇用保険、社会保険(健康保険、厚生年金)の取得や喪失手続き
- 業務中のケガ(業務災害)・通勤中のケガ(通勤災害)など、労働災害(労災)が発生した場合の手続き
- 社員のガン、うつ病などの私傷病など傷病手当金、出産一時金などの手続き
- 社員の扶養家族(結婚・出産・離婚・死亡など)の健康保険などの社会保険の申請手続き
- 社員の住所や姓名が変わったときの雇用保険・健康保険・年金などの変更手続き
- 60歳定年、育児休業、介護休業など社会保険、労働保険の手続き
- 会社の移転や、支店の増減の際に発生する労働・社会保険上の手続き
- 労働保険料の1年間分の保険料を計算・申告手続き(年度更新)
- 36協定書、賃金控除の協定書、1年単位変形労働時間制の届け出
- 1年1回、社員一人ひとり個別の社会保険料を計算して申告する業務(算定基礎届)
- 大幅昇給など場合の社会保険料を計算して申告する業務(月額変更届)
このほか、助成金の相談、書類作成、申請業務もあります。
労働社会保険法令の帳簿書類の作成
2号業務は、社員の給与計算及び勤怠管理業務と結びついた労働者名簿、賃金台帳、出勤簿、就業規則などの帳簿書類の作成です。
主に「就業規則の書類が上げられます。 これらの書類は労働基準法で作成することを定められており、なくてはならない書類です。
主な帳簿書類としては次の通りです。
- 労働者名簿の作成
- 賃金台帳の作成
- 出勤簿の管理
【労働者名簿の作成】 労働者名簿とは、労基法で作成が義務付けられた書類です(労基法第107条)。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 業務の種類※
- 履歴
- 雇用年月日
- 退職年月日と事由
- 死亡年月日と原因
※の「業務の種類」は、常時30名以上いる会社での作成が義務付けられています。
【賃金台帳の作成】 賃金台帳とは全ての労働者に対して作成する義務があります。また、賃金が支払われるたびに作成しなければなりません。誰が何時間働き、どのような計算で給与を算出しているのか、具体的に記入する必要があります。
もちろん、社員、アルバイト、パート、派遣など関係なく、全ての労働者に当てはまります。
賃金台帳は労働基準監督者が調査する場合必ずチェックする書類です。 作成していなかったり、内容に不備があったりしたら、罰則が与えられます。
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働、休日労働および深夜労働の時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
- 労使協定により賃金の一部を控除した場合はその金額
「出勤簿」という名称は、法律上の決まりではありません。
働き方改革が求めれる今、「労働時間、休憩、休日」の管理は重要です。
- 氏名
- 出勤日
- 出勤時刻、退勤時刻
- 休憩時間
就業規則とは、会社と労働者が社内で守らなければいけないルールです。例えば、始業・就業時間、賃金、賞与、退職金、休日などについて書かれています。
この就業規則は労働者が常時10人以上いる企業で作成しなければなりません。更に、労働基準監督署に提出の義務があります。
こんなときは社労士に依頼しよう
会社の状況によっては、積極的に社労士に相談依頼したほうが良い場合があります。以下に例を挙げていきます。
・専門のスタッフを配置する余裕がない
人事や労務の業務は行えても、時期によって保険関係の業務が増えることがあります。
このときは外部の社労士に依頼することをおすすめします。
・事業が成長して社員が増えた
人事や保険などの仕事は社員の数に伴って量が増減します。
このため、事業が成長し社員が急に増えた場合は社労士に依頼されてはいかがでしょうか。
人事の労務業務は、季節や企業の成長具合に大きな影響を受け、複雑な仕事が増減します。
社労士はその人事に関する業務を専門的に行っています。
もし人事や保険に関する業務で、不明な点などがある場合は相談してみてはいかがでしょうか。