- 値上げってどうすればいいんだろう…
- 毎年上がる最低賃金をどうやって価格転嫁すればいいんだろう…
そんなお悩みはありませんか。
弊社でも、同じようなご相談をよくお受けしています。
本記事では、
- 値上げの重要性
- 高く買っていただくためのノウハウ
- 中小企業の戦略
- 価値の高め方
を解説します。
値決めは経営である
京セラ・稲盛和夫会長の有名な言葉に、「値決めは経営である」があります。
この言葉があらわしているのは、
値決めにあたっては、
- 利幅を少なくして大量に売る
- 少量であっても利幅を多くとる
というように価格設定の手段は無限大にあります。
どれほど利幅をとったときにどれだけ量が売れるのか、どれだけ利益が出るのかを予見するのは難しいけれど、会社の製品の価値を正確に認識した上で、量と利幅の掛け算が最大になるところの1点を決めましょう。
それはお客様にとっても会社にとっても、最もハッピーである値でなければいけません。
この1点を求めて値決めは慎重にやってください。
ということです。
私が深く感銘を受けたのは、この稲盛和夫会長の言葉と、マネジメントゲームです。
マネジメントゲームとは、1人1人が社長となり資本金300万円でスタートし、利益を1番大きく残すことが勝ちになるゲーム。
ソニーとCDIが1976年に開発した経営シミュレーションタイプの社員研修プログラムです。
社長の視点で経営を疑似体験することでマネジメントの基礎である会計・財務スキルが自然と身につき、5,000社以上100万人が受講しています。
ソフトバンクの孫正義さんなど有名起業家がこぞって愛好したゲームでもあり、今でも大手企業の研修としてよく使われています。
私も実際に受講したことがあり、儲けの秘密を学びました。
値上げの重要性
たとえば70円で仕入れたものを100円で売ると、粗利は30円です。
10個売ると粗利総額は300円。
粗利益総額300円から給料などの固定費200円を引くと、儲け利益は100円。
これを基本とし、以下のものがそれぞれ20%ずつ変化したときにどうなるかをみてみます。
- 固定費
- 販売数量
- 原価
- 売価
固定費を減らすと、営業利益は基本の1.4倍になります。
販売数量を増やすと1.6倍。
原価を下げると2.4倍。
そして売価を上げた場合はなんと3.0倍になります。
ということは、
- 固定費は利益に対して鈍感
- 売価は利益に対して非常に敏感
つまり、売価を上げると儲かるということです。
「そうは言っても売り上げが大切なんだ、数を売ることが大切なんだ」と考えている社長さんは多いです。
しかし本当にそうなのでしょうか。
ではもう1つシミュレーションしてみましょう。
基本パターンはさっきと同じで、原価70円、固定費200円、売価100円とします。
値段を1割下げて販売数量を1割多くすると粗利総額は220円、営業利益は20円になり、基本に比べると80円も減ってしまいます。
値段を2割下げて販売数量が2割多くなると、粗利総額は120円。
そして営業利益はマイナス80円になるのです。
安売りの怖さが分かりますよね。
逆に、値段を1割値段を高くして1割販売数が減ったら、粗利総額は360円。
値段を2割高くして2割販売数が少なくなったら、粗利総額は400円。
基本パターンに比べて、儲けは2倍になります。
販売数量や売上重視の会社は、赤字になりやすいのです。
こういったことを学ぶのがマネジメントゲーム。大変ですが、しっかり決算書を作りながら進めるのですごく勉強になりますよ。
高く買っていただくためのノウハウ
高く買っていただく重要性はわかったけれど、
- どうやったら高く買っていただけるの…?
- うちは下請けだから高く買ってもらうなんてできないよ…
というご質問やご相談をいただくことが多くあります。
本章では、お客様に高く買っていただくためのノウハウを解説します。
需要と供給のバランス
そもそも価格は、需要と供給のバランスで決まります。
まず、売り手側の供給曲線から考えていきましょう。
トマトを30円で売りたい猿、50円で売りたい猫、80円以上で売りたい犬、100円で売りたい豚がいるとします。
30円で売りたいのは猿だけ。
100円で売りたいのは猿・猫・犬・豚の4匹で、こういった供給曲線ができます。
つまり価格が高ければ高いほど、売りたい人が増えていきます。
では、買い手側の需要曲線を考えてみましょう。
高くても最高のものを買いたいシェフの虎、少し高くてもいいものを買いたいパンダ。
熊は80円で普通のものを買いたい。
ウサギは安いものを買いたい、できたら50円で買いたいと考えています。
50円なら買いたいと考えているのは4匹、200円でも買おうとするのは虎のみ。
買い手側の需要曲線はこのようになり、価格が高いほど買いたい人が減っていきます。
価格が安ければ、買いたい人が増えていきます。
需要と供給のバランスで価格が決まるので、この例でいうと供給曲線と需要曲線が交わる80円のところで売れます。
この80円が需要と供給のバランスがとれたところ、ということです。
しかし、これは完全競争の市場で成立する話です。
実際の世の中に完全競争市場はめったになく、市場はエリアやニーズ、関係性、認知度などで細かく分断されています。
セグメントとターゲティング
マネジメントゲームでは、セグメントの概念を理解するために市場を6つに分けています。
セグメントとは「区分」や「部分」といった意味を表す言葉で、市場をいろいろな要素(地域や年齢、ライフスタイルなど)で細分化すること。
セグメントと混同されやすい言葉として「ターゲット」や「ターゲティング」があります。
ターゲットとは、自社の商品・サービスの顧客層として想定するセグメントのこと。
ターゲティングとは、この市場のこの分野のこの人に売っていこう、と自社の狙うターゲットを決めること。
たとえば「20代・男性・会社員」「30代・男性・自営業」「30代・女性・会社員」というセグメントの中から、アプローチの対象を「20代・男性・会社員」に絞り込むのがターゲティングです。
セグメントとターゲティングにより、高く買っていただくことができます。
われわれの顧客は誰か
ここで重要なのは、自社の顧客は誰なのかということ。
マネジメントの父・ドラッカーの5つの質問にもある、「われわれの顧客は誰か」ということを考えてみましょう。
中小企業は、すべてのお客様に満足していただく必要はないと私は考えています。
むしろ自社の商品やサービスに最も価値を感じ、感謝してお金を払ってくれる人や企業に買っていただくほうがいい。
全員を相手にする必要がない、というのが私の考えです。
何に価値を感じるかは人によって違うし、同じ人でも置かれている状況によって大きく異なります。
ですから、自社の商品・サービスに最も価値を感じてくれるお客様に絞るということが大切です。
需要と供給曲線のときの例で説明します。
【価格を上げて数量を減らす】
売り手側の豚は、とても美味しいトマトができたから売りたいなと思っています。
それを市場価格(供給曲線と需要曲線が交わるところ)の80円で売った場合、原価が30円なので粗利は50円。
3個売っても150円の利益しか出ません。
一方、買い手の虎は、最高のものを買いたいと思っています。
200円でも買いたいと思っている虎に売るとしたら、売価は200円で粗利は170円。
1個しか売れなかったとしても、利益は170円です。
80円で3個売った場合の利益は150円、200円で1個売った場合は利益が170円。
虎に1個売るほうが圧倒的に儲かります。
【市場を分ける】
では次のパターンをみていきましょう。
200円でも買いたいと思っている虎に、200円で1個売ります。
100円までならお金を出せると思っているパンダに残りの2個を200円(1個100円)で売れば、粗利総額は310円です。
粗利総額を比べると、80円で売ったときの150円と、200円・100円で売ったときの310円。
2倍以上の差が出ています。
どうしてそんなに差が出たのかというと、お客様のニーズで市場を分けたからです。
たとえばランチを食べるとき、お客様のニーズは人によって違いますよね。
立ち食いそば屋さんは、安く、早く、手軽に食べたいサラリーマンを相手にします。
一方で、テラスでのんびりしておしゃれなカフェをゆっくりと楽しみたい女性に対しては、値段が高くても売れます。
このように、求めているニーズによって市場を切り分けることが大切です。
マネジメントゲームでは、そういったことを学ぶことができます。
基本的にマネジメントゲームは競争入札なので、自由競争です。
でも市場が6つに分かれているので、6つの特性をうまく利用して市場を切り分けることができると、高く買っていただくことができます。
「市場は分けることができる、差別化できる」ということを体験できるのがマネジメントゲームです。
市場のセグメント化
ゲームでは理解できたとしても、実際にどうやって具体的に市場を分けたらいいのか悩みますよね。
そのときに重要なのが、市場自体を考えることです。
市場には、「お客様」「わが社」「ライバル」がいます。
わが社もライバルも解決できるお客様の悩みや望みは、価格競争になります。
わが社だけが解決できるお客様の悩みや望みは、わが社の強みになります。
だから強みを活かすことが大切です。
強みを活かすとは、ライバルが解決できないお客様の悩みを聞くこと。
強みに共感してくれるお客様は誰なのかを調べて、そのお客様に宣伝し、集客や営業をして買っていただければいいのです。
- お客様は誰なのか
- ライバルでは解決できないお客様の悩みや望みは何か
と考えることが大切で、そうすると高く買っていただけるようになります。
そもそもビジネスとは、お客様の悩みを解決し、望みを実現し、感謝とお金をいただくこと。
わが社の商品・サービスに最も価値を感じてくれるお客様は誰なのかを考えて、そのお客様が今どんなことに悩みをもっていて、どんな望みをもっているのかをヒアリングすることが大切なのです。
さらに、その悩みをお客様がどのように解決したいのか、解決するにあたってわが社にどんな強みがあるのかを考えることも重要です。
こういう思考が常につながっていくと、とても儲かるようになりますよ。
価値の判断軸
次に、価値の判断軸について解説します。
たとえば、一般的なにんにくは500円ほどで販売されています。
ところが「黒にんにく」になると7,000円といった高い価格で売られています。
食材のにんにくは500円、健康補助食品になると10倍以上の価格になる理由は、「価値が違う」からなのです。
「食材」はグラム当たりの価格で決まりますが、「健康」はプライスレスで、グラム当たりの価格をつけることができないですよね。
違う例でいうと、お墓の元である「石」は10万円もすれば高い方ですが、これがちゃんとした「お墓」になると100万円にも200万円にもなります。
中国の山から切り出したときはほぼ人件費だけの数万円ほどの価値。
輸入した段階で、5万円程度の価値に。
そして「〇〇家の墓」になったときには、100万円や200万円の価値になります。
なぜかというと、「先祖供養の象徴」になるからです。
つまり、「提供している価値は何か」ということによって価格はかなり違ってきます。
たとえば価格が高い・安いという軸があるとします。
価格の軸以外に、横軸に価値の判断軸を作ると高く買っていただけます。
たとえば、スターバックスの価格は高いですよね。
高くても売れている理由は、家でもない、職場でもない、第3の場所でくつろぎと穏やかさを提供する、という軸を作っているからです。
ガソリンスタンドの事例でいうと、セルフの安いところもあれば、高いところもあります。
窓拭きサービスします、車検ができます、修理もできます、といったサービスの軸を作ることで、価格が高くても売れるガソリンスタンドがあるのです。
このように市場を分けてターゲットを決め、価格以外の判断軸を作ってポジショニングすると、高く買ってもらうことができます。
市場のセグメント化、ターゲティング、ポジショニングは、価格戦略の基本です。
中小企業の戦略
中小企業にとって効果的な戦略は、以下のとおりです。
密着軸で勝負する
差別化は、以下の3つの軸に分類されます。
- 手軽軸
- 商品軸
- 密着軸
【手軽軸】
手軽軸は、価格の安さやサービスの提供スピードなどで勝負するケース。
マクドナルドや吉野家などが手軽軸にあたり、大企業の戦略として使われます。
【商品軸】
商品軸は、高品質・高サービス・新技術などで勝負する軸。
Appleやダイソンなどが該当し、商品軸も大企業でよくみられる戦略です。
【密着軸】
密着軸は、中小企業に効果的な戦略。
お客様1人1人に、しっかりと向き合っていく戦略の軸です。
どうすれば中小企業に効果的な密着軸を作れるかというと、まずはお客様の悩みや望みをしっかり聞くこと。
ライバルが解決できていないお客様の悩みをしっかり聞いて、カスタマイズしてお客様ごとに変えていく。
そうすれば関係性を構築して強みを活かすことができます。
そしてもう一つ、わが社の強みに共感してくれるお客様は誰なのかを把握すること。
お客様がどういう悩み・望みをもっているのか把握し、そのお客様に向けた広告や営業をかけていくことが大切です。
マーケティングと営業を変える
ライバルが解決できないお客様の悩みをきちんとヒアリングする。
その悩みをどうやって解決したいか、というお客様の解決の方向性もヒアリングする。
そして解決することができる商品・サービスを提案したり、商品・サービスを作ったりするという発想が大切です。
ですから、営業は説明してはいけません。
「話す」のではなく、「聞く」。
質問して、共感して、さらに深い質問をする。
そういうマーケティングと営業に変えると、高く買っていただけるようになります。
営業とは、お客様の悩みを解決し、望みを実現し、感謝とお金をいただくこと。
「お客様の問題解決こそが営業」という発想に変えて、本当にお客様の役に立つ商品・サービスを考えていく発想をすると、高く買っていただけます。
そのために必要なのは、お客様の問題を明確にすること。
お客様の問題は「理想の未来と現状のギャップ」が問題なので、しっかり現状について質問しましょう。
その答えに共感し、さらに深堀した質問をして、お客様の悩みと望みを具体的に把握する。
- 問題がどこにあるのか
- 原因は何か
- どう解決したいのか
をお客様に話していただけるようにロジカルシンキングを営業の中に加えて、お客様の本当の悩み・望みをヒアリングするという発想が大切です。
価値を高める
値上げとは、お客様が商品に感じる価値を高めて、高く買っていただくこと。
では、価値とは何でしょうか。
価値とは、脳が「いいな」「大切だな」「必要だな」「役立つな」と思うすべてのものだと私は考えています。
マネジメントの父・ドラッカーは「顧客にとっての価値は何か」についてこう書いています。
最も問うことの少ない問いである。
答えは明らかだと思い込んでいるからである。品質が価値だという。
この答えはほとんど間違いである。顧客は製品を買ってはいない。
欲求の充足を買っている。彼らにとっての価値を買っている。
ピーター・ドラッカー
お客様が感じる価値を高めるには、次の面を考慮するとよいです。
機能的価値と情緒的価値
価値には、機能的価値と情緒的価値という2つの側面があります。
【機能的価値】
機能的価値とは、商品機能から発生する実利のこと。
正確にできた・早くできた・できるようになった・便利になった など
【情緒的価値】
情緒的価値とは、機能的価値から発生する気持ちのこと。
かっこいい・楽しい・好き・おしゃれ など
商品そのものの機能から機能的価値が生まれ、機能的価値から情緒的価値が生まれてきます。
たとえばiPhoneは、かっこいい・おしゃれといった説明で情緒的価値のブランドが生まれていきました。
ラムネを普通の瓶に入れるとしたら、たんなるサイダーになってしまって高く売れません。
ところが、ラムネ独特のボトルに入れることで、懐かしい・ノスタルジックという情緒的価値が生まれ、値段が2倍、3倍になっているのです。
機能的価値から情緒的価値を生み、その上でブランドを作っていきましょう。
たとえば、ハーレーダビッドソンは自由・冒険・反骨精神の塊の象徴といった情緒的価値とブランドで高く買っていただくことに成功しています。
ナイキも、「JUST DO IT」というスローガンを通じて自己実現・挑戦する気持ち・自分らしいライフスタイルの象徴というブランディングを行い、高く買っていただいています。
価値は、相対的なもの。
総合的に判断してトータルで考えられます。
さらに価格と比較して価値が高いと感じたら魅力的なものになるし、価値が低いと感じたら魅力がないと思われてしまいます。
価値の感じ方は、いつでも誰でも一緒なわけではありません。
価値はそのお客様がどんな状況に置かれているかで大きく変わります。
たとえば大金持ちが砂漠で水を求めている場合、ペットボトルの水1本が1億円で売れるかもしれません。
なぜならその人の生命と関係しているからです。
同じ商品でも、置かれている状況や説明の仕方、提供の仕方によって価値は大きく変わるのです。
そもそも人が商品を買うのは、支払うコストより価値が多く、得すると思うときです。
損すると感じたら買いません。
得すると思うから買うという、当たり前のことです。
商品力とは、商品の価値/商品の値段です。
商品の値段には、購入するための労力と時間も含まれます。
近くで買うと時間や労力が節約でき、商品の購入コスト自体が減ります。
商品の値段を上げたかったら、商品の価値を上げていけばいいのです。
同時に、買うための労力と時間を減らすと価値が上がる、ということも理解しておくべきでしょう。
プロダクト三層モデル
プロダクト三層モデルというマーケティングフレームワークがあります。
フィリップ・コトラーにより考案されたプロダクト三層モデルは、製品価値構造を「中核・実体・付随機能」の三層に分けて整理する考え方です。
この三層に分けて考えると、高く買っていただけるヒントが浮かんできます。
製品の中核
製品を買うことによって得られるメリット
たとえば製品がエアコンなら、中核は部屋の快適な温度
製品の実体
製品そのものの特性
デザイン、品質、ブランドなど
製品の付随機能
製品の取り付け、アフターサービスなど、いわゆるオプション
エアコンの例で考えてみましょう。
製品の中核としては、「エアコンを使いたい部屋は何畳ですか?」と質問することによって答えを得られます。
製品の実体としては、「何を優先されますか? デザインですか?それとも省エネ性能ですか?ブランドですか?」と質問して、お客様が求めていることに対応すればよいです。
製品の付随機能については、暑くて暑くて仕方がないときに「すぐに設置できます」というのは魅力的なサービスになります。
使い方が難しい場合、丁寧に使い方を説明することでも価値が変わってきます。
高く売っている電気店では、すぐに設置できるサービスを取り入れたり使い方を丁寧に説明したり、付随機能を工夫しています。
お客様のベネフィットを考える
ベネフィットとは、商品・サービスを買って得たい未来と感情のこと。
- 機能的ベネフィット
- 情緒的ベネフィット
- 自己実現ベネフィット
の3種類があります。
機能的ベネフィットとは、商品の基本的な価値。
たとえば包丁でいうと、よく切れる、滑りにくくて安全など。
情緒的ベネフィットとは、商品が満たしてくれる感情のこと。
包丁だと、切れにくいイライラ感がなくなるなど。
自己実現ベネフィットは、その商品によって可能になる自分らしさ・自己実現や自己表現のこと。
この包丁を持つことによって自信をもてる、一流シェフという理想の自分に近づけるなど。
お客様が得られる機能的ベネフィットは何かということを考えるのはもちろん、情緒的なベネフィットや、自己実現できるようなベネフィットは何かについても考えなければなりません。
とくに、自己実現できることを説明・表現できると、高く買っていただけるようになります。
どうすればお客様がベネフィットを感じていただけるかというと、ライバルが解決できていないお客様の悩みや望みを、自社だけが解決できる状況を作ればいいのです。
お客様が置かれている現状をしっかりヒアリングし、望みが実現できていないこと、悩みがあることに対して「自社が解決できます」と提案すれば、高く買っていただける土台ができます。
中小企業は、お客様に密着して悩みや望みを質問して明確にすること、そしてお客様1人1人がどう解決したいと考えているのかをヒアリングすることがとても重要です。
そうすると高く買っていただけたり、お客様が望んでいる商品・サービスにカスタマイズしたりすることができ、差別化につながります。
まとめ
ビジネスとは、お客様の悩みを解決し、望みを実現し、感謝とお金をいただくこと。
まずは、私たちの商品・サービスに最も価値を感じてくれるお客様は誰なのかをしっかりと把握しましょう。
そのお客様がどんなことに悩んだり望んだりしていて、それをどう解決していきたいのかをヒアリングする。
それが自社の強みに合っているかを確認して、お金を払ってでも買いたいとお客様に感じてもらえるかどうかをチェックしていくことが大切です。
需要と供給によって価格は決まります。
市場をセグメントし、お客様を絞るターゲティングを行うことで高く買っていただくことができます。
値上げとは、お客様の感じる価値を高めることによって価格を上げること。
お客様の悩みや望みに対して、価格以外の軸を作るとポジショニングすることができるようになり、高く買っていただける土台ができます。
価値というのは、脳がいいなと感じるすべてのもの。
すべてというのは、機能だけではありません。
情緒的なベネフィットや自己実現・自己表現まで含めて、最も自分にとって「いいな」「大切だな」「必要だな」「役立つな」と思うすべてのもの、と理解すると、機能以外にも商品・サービスに強みが生まれてきます。
お客様の感じる価値の高め方としては3つあります。
- 商品を創造・演出する
- 提供の仕方を変える
- お客様の期待を高める
【商品を創造・演出する】
たとえば、新商品・新メニューを作るのが有効です。
既存の商品は比べやすいので、値上げしづらいです。
値段がわかりにくい新しい価値を組み合わせて、新しい商品やメニューを作るとよいでしょう。
商品の最も輝くシーンを切り取って演出したり、開発の秘話やエピソードを付け加えたりすると、さらに商品の価値が高まります。
専門家の推薦を得たり、希少性をもたせて販売したりする。
ここしかない、わが社しか売っていない、という状況を作り出すと高く買っていただけます。
【提供の仕方を変える】
提供の仕方を変えるために大切なのは、対話です。
対話とは、質問をして共感して、さらに深掘り質問することでお客様の現状の悩みや望みを
明確にする。それを深いところで理解し、共感していくこと。
そういった対話を通じてお客様と関係性を構築することが大切です。
中小企業の戦い方として信頼構築による密着軸が価格を高くするコツなので、対話を積み重ねてお客様ごとのデータベースを作っていく必要もあるでしょう。
お客様が想像力を働かせるようなメニューも効果的です。
中身がわかっているよりも、新しい体験のワクワク感があると価値が高まります。
たとえば高級なレストランやホテルでは、どういう中身なのか分からない神秘性のあるメニューの提供をしています。
専門家らしい提案や説明、こういう体験でこう作りましたという実体験が少し付け加えられるだけで価値がぐんと上がります。
プロらしい衣装や態度も、さらに価値を高めていきます。
【お客様の期待を高める】
お客様の期待を高めるのに重要なのは、対話によるお客様の教育です。
知るとますます欲しくなる情報、知れば知るほど楽しみがわかる知識。
そういったものを付け加える工夫をするとよいでしょう。
仲間ができる場所の提供や、サロンの運営も価値の向上に一役買います。
こういうふうに使うと便利ですという使い方ガイドや専門家のアドバイスでもお客様の価値の感じ方がぐっと変わってきます。
価値をどう感じるかということを工夫していけば、お客様に高く買っていただけるようになります。
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本記事では、価格設定の秘密について解説しました。
知っているか知らないかで、あなたの会社の未来は大きく変わります。
しかし、知っているだけでは会社は儲けることができません。
損しないために、そして実際に得するためには知識をノウハウとして実行する必要があります。
時間がない…コアな仕事に集中したい…という方は、本物のノウハウを持った専門家への依頼をご検討ください。
実は当事務所でも、お客様が増えているけれどもあまり儲からない時代がありました。
しかし、儲けの秘密や価格の決まり方、マーケティングについて勉強した結果、わずか9年で従業員数は11名から90名に、粗利益は12倍に。
4万4000人もの社労士の中で、全国10位の社労士事務所に成長することができました。
このノウハウをロームのお客様にお伝えしたところ、
- 赤字5000万円から経常黒字4.5億円に
- 黒字100万円から経常黒字9000万円に
- 1億円近くの粗利改善
といった営業利益の改善ができたのです。
ロームは、あなたの会社を全力でサポートさせていただきます。
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お客様からいただいた感想を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。