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2021.10.04

新卒採用とジョブ型雇用の違いは?メリット・デメリットも紹介

現在日本では大手企業を中心にジョブ型雇用の導入が進められています。今回は、新卒採用とジョブ型雇用にどのような違いがあるか、またジョブ型雇用のメリット・デメリット、中小企業の採用に与える影響について紹介します。

ジョブ型雇用・新卒採用とは

現在日本で広く行われている新卒採用と、欧米で一般的に行われているジョブ型雇用は、仕組みが根本的に違うため、それぞれに全く異なる特徴を持っています。

そこでまずは「ジョブ型雇用」と「新卒採用(メンバーシップ型雇用)」とは何なのか、整理していきましょう。またそれぞれどのような特徴があるのかについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

ジョブ型雇用とは?

ジョブ型雇用とは、従業員に対して「職務内容」を明確に定義し、労働時間ではなく、職務内容に応じた成果で評価する雇用制度です。職務に応じて人材が割り当てられるため、専門的なスキルが活かしやすい雇用形態です

現在、欧米諸国は広く行われている雇用形態で、国際的な人材獲得競争が激化し、IT企業や美容に関する企業への導入が行われているほか、日立製作所やカゴメ、資生堂など業種を問わず大手企業へも導入が進められていることから、今後日本での普及も予想されます。

ジョブ型雇用の特徴

ジョブ型雇用では、雇用にあたり「職務記述書(ジョブディスクリプション)」の作成が必要です。この職務記述書には、仕事内容のほか、役職、勤務地、労働時間、必要なスキルや資格などが事細かに記載されます。

この契約にサインすれば、労働者は記載されていない仕事の指示や命令に従う必要はありません。報酬についてもこの職務記述書に則って支払われるため、基本的に昇給・昇格しない代わりに転勤や残業なども発生しません。

また会社側としては、仕事内容や勤務地の変更など条件を気軽に変更できないことが特徴です。しかし一方で、業績悪化などにより一部の事業撤退を迫られる場合でも、余剰人員の配置転換に悩まずにすみます。

新卒採用とは?

新卒採用はジョブ型雇用とは逆に勤務地や労働時間、仕事の内容などの条件が限定されない雇用形態のことを言います。日本で長く行われている採用形態がこれで、終身雇用や年功序列などにも通じる部分があります。

人に仕事を割り当てるやり方で、企業内で人材を育成していくのが特徴。本人のスキルや専門性と関係なく異動・転勤が発生します。高度経済成長期以降日本企業で古くから広く行われている雇用形態です。

新卒採用の特徴

高校・大学・専門学校を卒業した直後の、まだ専門的なスキルに乏しい人材を一度に多く採用し、社内での研修やOJTなどで育成をするのが特徴。しっかりとした教育が受けられるほか、基本的に解雇される心配もありません。

また労働者の経験値や所有するスキルにより給与が増えていくため、社内でスキルアップを目指すことも可能。一方で残業や専門性と無関係な転勤も発生します。

企業側は欲しい人材を欲しい場所、職務に配置できます。しかし労働時間や年功序列に基づいた評価しかできないため、突出した能力が評価されにくく、時短で働きたい人などが雇用しづらいのが現状です。

現在の日本が新卒採用である理由

日本で現在の新卒採用による雇用形態が定着したのは高度経済成長期頃です。高度経済成長期は日本全体での消費意欲が高く、規格に沿った製品を量産することで売上を伸ばせました。

また製品を安定的に大量生産するには、長期的な労働力が必要だったため、企業が多数の労働者を一度にまとめて採用する新卒採用は、当時の状況では適した方法でした。それ以降も日本では新卒採用が続けられましたが、時代の移り変わりと共に新卒採用によるデメリットも目立ってきています。

ジョブ型雇用が注目されている背景

ジョブ型雇用が今日本で注目されている背景としては、新卒採用を続けてきたことによるデメリットや働き方とのミスマッチなどが、深刻な社会問題として浮上していることが挙げられます。

そこで次に新卒採用を長年続けたことにより、現代の日本で具体的にどのような社会問題や不都合が起きているかについて詳しく紹介します。

長時間労働の是正

人に職務が割り振られる新卒採用では、会社から残業を求められても断りにくく、その環境が結果的に長時間労働に繋がっています。ブラック企業で常態化している長時間労働も、人に職務に割り振られていることが原因の1つとなっているのです。

しかしジョブ型雇用では、仕事の内容や労働時間が契約により定められていることから、会社が残業で別業務を依頼することが難しく、もし仮に依頼されたとしても職務記述書に記載がされなければこれを断ることが可能です。

このことから、ジョブ型雇用は長年日本で社会問題となっている長時間労働を是正できるのではないかと期待が寄せられています。

働き方改革への対応

日本では現在働き方改革が推進されており、女性・シニア世代・外国人などの雇用を後押ししています。これは日本の少子高齢化が影響しており、今後更に不足が予想される労働人口を補うのが目的です。

一方で女性は育児、シニア世代は体力面で時短勤務を希望する人が多くいます。しかし年功序列や労働時間による評価が基準の新卒採用では、これらの人材や、海外からの転職者雇用を進めにくいのが現状です。

しかしジョブ型雇用ははじめから労働時間や勤務地などを固定できるため、これらの人材雇用もスムーズに進められ、雇用のミスマッチも軽減できます。

新型コロナウイルスの流行

新型コロナウイルスの流行に伴い、日本でも急速に業務のリモート化が進められています。しかしリモートワークは労働者がどのように業務を行っているかの実態を掴みにくいのがデメリットです。

これにより労働時間で評価を行ってきた新卒採用では評価が難しいという問題が発生。しかしジョブ型雇用の場合、職務記述書で業務内容や評価基準が明確に記載されており、実際に挙げた成果によって評価が決まることから、リモートワークにも適した雇用形態として注目を集めています。

新卒採用とジョブ型雇用の違い

ここまでで新卒採用とジョブ型雇用の違いについては、大枠として捉えられているかと思います。しかし新卒採用とジョブ型雇用にはこのほかにも、明確な違いが数多くあります。

そこで次に、これまで紹介してきた新卒採用とジョブ型雇用の違いをまとめた上で、そのほかに挙げられる、2つの雇用形態の違いについて詳しく紹介します。

仕事に対する考え方の違い

新卒採用では人に合わせて仕事を割り当て、ジョブ型雇用では仕事に合わせて人を割り当てます。新卒採用の場合、仕事経験のない人材を雇用し、スキルや経験を身に着けさせた後でその人材に合う仕事を割り当てるのです。

一方でジョブ型雇用は業務の内容を先に決め、その仕事をこなすのに必要なスキルを持った人物を採用します。

またジョブ型雇用は職務記述書により仕事内容や勤務地、労働時間が定められており、新卒採用はこれらがすべて定められていません。ジョブ型雇用は記述にない仕事を行う義務がなく、新卒採用は仕事の内容に関わらず遂行する必要があります

採用方法の違い

新卒採用では、定期的に人材の採用を行いますが、ジョブ型雇用では欠員が出て初めて募集をかけ、採用を行います。新卒採用ではスキルを重要視せず、性格やコミュニケーション能力など、今後の活躍が期待できるポテンシャルがあるかどうかを見るのが特徴。

一方ジョブ型雇用の場合は欠けた人材が行っていた仕事内容をそのまま引き継ぐため、即戦力となるスキルを持った人物が採用されます。

待遇面での違い

新卒採用では、職務を遂行するための能力、つまり仕事に必要なスキルや技術、経験値、コミュニケーション能力などを基に報酬が決められます。これらの能力は会社に勤めた年数が長くなるにつれ向上すると考えられているため、長く勤めるほど報酬も上がりやすい仕組みです。

ジョブ型雇用では、仕事の内容に対して報酬が決められています。職務記述書に記載のない仕事も行わないため、基本的には報酬も上がりません。

また雇用保障に関しては、ジョブ型雇用よりも新卒採用の方が強いのが特徴。ジョブ型雇用は仕事の内容が限定されているため、事業撤退などで仕事自体がなくなれば契約解除になる可能性が高くなっています。

くわえて、成果を出せない場合にも能力が不足していると判断され、契約解除される危険性もあります。一方で新卒採用は仕事内容や勤務地が限定されていないことから配置転換などを行えるため、一方的に解雇されることは基本的にありません。

教育面での違い

新卒採用では社内研修やOJTなどさまざまな教育を受けられますが、ジョブ型雇用ではすでにスキルを持った人材を雇用することから、会社側から教育を受けることは基本的にありません。

そのためジョブ型雇用の場合は、スキルアップをしたい場合自ら社外で独自に方法を探し出し、努力する必要があります。一律で教育を受けられないことから、スキルに個人差が生まれやすい環境と言えるでしょう。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ここまで新卒採用とジョブ型雇用の違いについて詳しく紹介してきました。しかし結局ジョブ型雇用のメリット・デメリットは何かよく分からなかった方もいるのではないでしょうか。

そこで前述のジョブ型雇用のなかで登場した、メリット・デメリットを最後にまとめて紹介します。会社側の目線から考えたジョブ型雇用のメリット・デメリットとなっていますので、ぜひ参考にしてください。

ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用のメリットは

  • 即戦力が確保できる
  • 仕事と人のミスマッチが防げる
  • 評価基準が明確で分かりやすい

などが挙げられます。ジョブ型雇用では、職務記述書に基づき高い専門性を持った人材が確保できるため、成果に繋がりやすくなっています。また仕事内容が決まっていることから「勤務地を変えたくない」「やりたくない仕事をやらされた」などのミスマッチも起こりません。評価は成果によって客観的に決められるため、主観を排除できることも魅力です。

ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用のデメリットとしては

  • 転勤や異動を命令できない
  • 転職されやすい
  • 新卒の育成ができない

などが挙げられます。ジョブ型雇用は契約解除により人員整理がしやすい一方で、人の配置換も困難です。また会社への愛着も湧きにくく、労働者がより条件のいい会社に転職しやすくなる危険性があります。新卒も採用しにくいことから、自社に適した人材の育成も難しくなると予想されます。

中小企業は新卒採用に力を入れるのがおすすめ

現在日本では大手企業を中心にジョブ型雇用の導入が進められています。しかし一方で大手企業の新卒採用が減り、ヘッドハンティングや引き抜きを含めた中途採用が増えることで、即戦力となる人材は今後より不足していくことが予想されます。

そのため、中小企業としては会社への負担が甚大なジョブ型雇用に変換するよりも、まずは大手企業の力の入れ方が弱まる新卒採用に力を入れるのもおすすめです。

 

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